強いかゆみを伴う慢性炎症性皮膚疾患
アトピー性皮膚炎

正しい保湿や治療で、日常生活に支障がない状態を長期的に保つことを目指す
皮膚の乾燥や赤み、強いかゆみを繰り返す「アトピー性皮膚炎」。乳幼児に発症することが多いですが、成人まで続くこともあります。

監修・取材協力:きらり皮フ科クリニック
坂 義経 院長

Contents

アトピー性皮膚炎 - 基礎知識

アトピー性皮膚炎は、強いかゆみを伴い、症状が良くなったり悪くなったりを繰り返す慢性的な皮膚の炎症です。主な症状として、強いかゆみや赤み、湿疹、皮膚の乾燥、掻き続けることで皮膚が厚く硬くなる「苔癬化(たいせんか)」などがみられます。乳児湿疹が一時的な皮膚トラブルで自然に良くなることが多いのに対し、アトピー性皮膚炎は長期間にわたって症状が続き、繰り返し現れることが特徴です。

アトピー性皮膚炎 - 原因について

なぜかゆみが強くなるのか?

アトピー性皮膚炎は、「皮膚のバリア機能の低下」と「免疫の過剰な反応」が関係して起こると考えられています。悪化のきっかけとしては、乾燥や汗、ダニ・ハウスダスト、ストレス、季節の変化などさまざまな要因が挙げられます。皮膚のバリア機能が弱まると、外からの刺激が体内に入りやすくなります。すると体はそれを排除しようとして免疫が過剰に反応し、皮膚に炎症が生じます。炎症が起こるとかゆみを引き起こす物質(サイトカインなど)が増え、掻くことで皮膚がさらに傷つき、炎症とかゆみが悪化する「かゆみの悪循環」に陥ります。近年では、かゆみの発生に深く関わる物質として IL-31(インターロイキン31)が注目されています。

アトピー性皮膚炎 - 治療の基本方針について

アトピー性皮膚炎の治療では、皮膚の炎症をきちんと抑えることが大切です。基本となるのは、「炎症を抑える」「保湿を続ける」「再発を防ぐための維持療法を行う」という3つのポイントです。保湿は治療の土台ともいえるもので、保湿剤を継続して使用することで皮膚のバリア機能を保ち、症状の再発を防ぐことにつながります。

さらに、症状が落ち着いたあとも週に数回外用薬を使用する「プロアクティブ療法」が推奨されており、長く安定した状態を保つために重要とされています。アトピー性皮膚炎は、小児期から成人期まで長く付き合っていく可能性のある病気です。そのため、早い段階から炎症をしっかり抑え、皮膚を守るケアを続けていくことが大切です。

アトピー性皮膚炎 - 治療について

皮膚の炎症をしっかり抑えることが重要です。現在は、症状の強さや部位に応じて複数の外用薬を使い分けます。

ステロイド外用薬 
炎症を強力に抑える基本治療です。症状の強さに応じて適切なランクを選び、十分な量を塗布することが大切です。

タクロリムス軟膏
免疫反応を調整する外用薬で、顔や首などのデリケートな部位にも使用されます。

PDE4阻害薬(ジファミラスト軟膏)
炎症に関わる酵素(PDE4)を抑える新しい外用薬で、比較的形象から中等症の患者さんに使用されます。

外用JAK阻害薬(デルゴシチニブ軟膏)
炎症のシグナルを皮膚局所で抑制する外用薬で、アトピー性皮膚炎の炎症やかゆみを改善します。

アトピー性皮膚炎 -日常生活・セルフケアについて

「アトピー性皮膚炎は体質だから」と諦めず、長期的な安定を目標に皮膚科専門医とともに治療を続けていきましょう。

日常生活・セルフケアについてのポイント
【保湿について】
・入浴後5分以内に塗ることが理想
・季節により、夏はさっぱりタイプ、冬は保湿力の高いタイプを使い分ける

【かゆみが強いとき、掻かないために有効なこと】
・爪を短く保つ
・冷やす
・手袋を使用する(小児)
・睡眠環境を整える

【化粧品やスキンケア製品の選び方について】
・低刺激なもの、香料やアルコールを含まないものを選ぶ


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