強い緊張やストレスを受けることで起きる
血管迷走神経反応 (VVR)

血管迷走神経反応 イメージ

血管迷走神経反応 は自律神経が乱れ、脳への血流を調節する神経がうまく働くなることで起きる失神です
目の前が暗くなったり、息苦しさを感じたり、めまいが起きることがあります。転倒してケガをすることがあるので、対策方法などを知っておきましょう。

監修・取材協力:松波総合病院 病院長代理
岐阜大学医学部客員臨床系医学教授 鶴見 寿 先生

Contents

血管迷走神経反応 -基礎知識

強いストレスから引き起こる生理的反応

血管迷走神経反応[VVR(Vosa Vagal Reaction)]は主にストレスや強い痛みなどをきっかけに迷走神経が刺激されることで脈が遅くなり、末梢血管の緊張が緩み(自律神経が乱れ)、脳へうまく血液が届かなくなり、失神が起きる反応です。

ワクチン接種や採血、献血など、身体に針を刺すことがきっかけになる事例があります。血圧が低下し、目の前が暗くなる、気分が悪くなる、吐き気があるなどの症状があるほか、失神して転倒することもあるので注意が必要です。ワクチン接種では、多くの場合、接種後15分以内に症状が出ます。

転倒してケガをする恐れがあるので、針刺後は背もたれのあるイスに座って30分ほど休みましょう。もし、失神したら横になって頭部を下げ、足を高くして症状が落ち着くまで安静にします。アナフィラキシーや心筋梗塞と見分けることも必要です。

針刺前は十分な睡眠と適度な食事などで体調を整えておくと血管迷走神経反応を引き起こしにくくなります。不安や緊張が強い場合は、最初から横になって接種や採血をすると安心できます。

血管迷走神経反応は非アレルギーのため、次回のワクチン接種や採血も可能です。

頻繁に繰り返される場合は糖尿病、不整脈、甲状腺の病気が潜んでいることもあるので、一度、検査を受けるとよいでしょう。

自律神経とは?

身体の働きを調整する神経で、意識とは無関係に働きます。交感神経と副交感神経があり、身体の状態をコントロールしています。
例えば、寒い時は体から熱が逃げないよう、交感神経が働き、血管を収縮して放熱を抑えています。

迷走神経とは?

脳神経の1つで、頸部・胸腔内臓器と腹腔内臓器の一部を支配する副交感神経です。消化管の多くを支配しているため、食後は迷走神経が優位に働きます。

このような状況で起きる事例があります。

・ワクチン接種
・採血
・献血
特に睡眠不足や空腹時、女性、生理前後や生理中、長時間起立している時などに起きることがあります。
(人混みや閉鎖空間、慢性の人間関係のストレスがきっかけになることもあります。)

血管迷走神経反応 -症状

体の中ではどのようなことが起きている?

注射針を刺すことへの強いストレスなどが刺激に。

ストレスや不安感、強い痛み、排泄、腹部内臓疾患などをきっかけに

迷走神経求心枝を介して

脳幹血管運動中枢を刺激

心拍数の低下や血圧低下が起きる。

「今から針を刺される」「ワクチンへの不安」

軽度 血圧低下、脈が遅くなる
中等度 【軽度】+意識障害が起こる、脈が1分間に40回未満になる、血圧が90未満になる
重度 【中等度】+けいれん、失禁
症状:目の前が暗くなる、気分が悪くなる、吐き気がある、失神

症状が起きたら横になって安静に

症状が起きたら体を横にします。頭部を下げて、毛布などあれば足の下に置いて、足を頭部より高くします。
重症の場合は点滴(生理食塩水)や硫酸アトロピンを投与します。

予防をして備えよう

ワクチン接種や採血、献血の予定がある場合は、十分な睡眠、適度な食事、水分補給をしておきましょう。過度な満腹状態は誘引のきっかけになるので、気をつけます。
ワクチン接種後は15〜30分ほど、背もたれのあるイスで休みましょう。


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