手足口病 は、主に夏に流行する感染症で、3〜6日の潜伏期の後、手足などに赤い発疹や水ぶくれ、口内炎ができます。高熱が出ることは少なく、1週間ほどで自然に治ります。毎年、5月頃から患者数が増え、7月に流行のピークを迎えます。全身状態が改善すれば、登園・登校が可能になります。
監修・取材協力:のりたけキッズベビークリニック
浅野 勉 院長
この記事をまとめると
- 乳幼児、特に集団生活をしている子どもは注意
- 手と足、口に赤い発疹や水ぶくれができます
- 7月に流行のピークを迎えます
- 高熱はあまり出ません
- 石けんでの手洗い、うがいをして予防します
手足口病 −基礎知識
主に夏に流行する感染症で、3〜6日の潜伏期の後、手足などに赤い発疹や水ぶくれ、口内炎ができます。高熱が出ることは少なく、1週間ほどで自然に治ります。かかりやすい年齢は5歳以下。毎年、5月頃から患者数が増え、7月に流行のピークを迎えます。一般的には夏風邪と呼ばれることもあります。全身状態が改善すれば、登園・登校が可能になります。
近年の動向
国立感染症研究所がまとめた患者報告によると、2019年6月は、過去10年の同期と比べて最多になりました。
症状
手のひらや足の裏に赤い発疹や水ぶくれができます。口の中にも赤い発疹や水ぶくれ(口内炎)ができます。次第に、手足全体、ひじ、ひざ、おしりに出ることもあります。高熱が出ることはあまりなく、発病しても、軽い症状だけで治ることが多くあります。また、夏風邪と言われますが、冬の風とは異なり、鼻水や咳の症状はあまりありません。
原因
エンテロウイルス属のウイルスによる感染です。具体的にはコクサッキーウイルスA6、A16、エンテロウイルス71(EV71)などが挙げられます。
感染経路には、飛沫感染、接触感染、糞口感染(便の中に排泄されたウイルスが口に入って感染する)があります。特に、保育施設や幼稚園など、乳幼児が集団生活をしている施設では注意が必要です。ウイルスの潜伏期があるため、施設で手足口病にかかった子どもがいると、集団感染が起こりやすくなります。
原因となるウイルスに初めて感染する乳幼児がいると、感染経験がないため発病しやすくなります。
手足口病 −治療方法
ウイルスに直接効く薬はありません。熱や喉の痛みなどの症状を和らげる対症療法を行い、自然治癒を待ちます。病院では、場合によって解熱剤や喉の痛みをとる薬を処方します。
自宅療法(療養方法、再発防止など)
口内炎があってうまく食事ができない場合は柔らかく、味の薄い、冷たい食事にします。食欲が落ちている時はこまめに水分をとるようにしましょう。
手足口病 −合併症
まれですが、髄膜炎、小脳失調症、脳炎などの中枢神経系の症状のほか、心筋炎、神経原性肺水腫、急性弛緩性麻痺など、さまざまな合併症が起こる場合があります。
手足口病 −今すぐはじめる予防と対策
手足口病 −自己チェック
手足口病のリスクチェック
□ 5歳以下の乳幼児
□ 乳幼児の保育施設などで、普段から集団生活をしている
□ 手洗いやうがいはあまりしない
□ 周囲で手足口病やヘルパンギーナにかかった子ども、人がいる
手足口病のセルフチェック
●予防・対策はしっかりできていますか?
□ 手洗いうがいをしっかり行う
□ 子どもの排便、おむつ替えなどの処理を適正に行っている
□ タオルは共用していない
●下記のような症状はありますか?
□ 手のひらや足の裏に赤い湿疹、または水ぶくれができている
□ 口内炎がある
□ 全身がだるい
子どもの夏の 感染症 5歳以下の小さな子どもがかかりやすい夏の 感染症 。夏風邪は6月上旬に、西日本で流行の兆しを見せているとの報告もありました。まずは保護者が予防を心がけて、気になる症状が現れたら病院で診断を仰ぎ、対症療法で症状を和らげましょう。
ヘルパンギーナ ヘルパンギーナ は5歳以下の乳幼児にかかりやすく、主に夏に流行する感染症で、一般的には夏風邪と呼ばれています。2〜4日の潜伏期の後、突然、39度前後の発熱がみられます。その他、喉の痛み、よだれ、機嫌が悪い、食欲低下、口内炎などが特徴。3日程度で熱は下がり、喉の症状も1週間ほどで治ります。
咽頭結膜熱 -いんとうけつまくねつ- 咽頭結膜熱 は、5歳以下の乳幼児にかかりやすく、主に夏に流行する感染症で、夏風邪の一つです。プールでの接触やタオルの共用によって感染することがあるため、プール熱とも呼ばれています。急激な喉の痛み、目の充血、発熱がみられます。
水いぼ 水いぼ は小児に多くみられ、プールに入っただけではうつりませんが、水いぼができている人と直接、肌が触れ合ったり、タオルなどを共用したりすると感染しやすくなります。特に肌を露出することが多い夏は肌を掻きやすく、子どもたち同士がふれあう機会が多いため、感染しやすくなります。