
女性は男性と比べて不眠症が多いことが分かっており、現代の日本では、約5人に1人が不眠に悩んでいます
人間関係によるストレスや環境の変化、生活リズムの乱れなどによって、不眠に関する悩みを抱える人が増加しています。
監修・取材協力:阪野クリニック
阪野 勝久 院長

不眠症 -基礎知識
現代の日本では、約5人に1人が不眠に悩んでいるといわれています。男性と比べて女性に多いことが分かっています。年齢別に見ると加齢にしたがって増加傾向であり、加齢に伴う生活リズムの変化や、身体機能の変化が影響していると考えられます。不眠といっても、それぞれの睡眠の質や長さ、タイミングなどに特徴があります。なかなか寝付けない、夜中に何度も起きてしまうなどの症状を「不眠」といいますが、不眠症状がみられかつ日中への生活に影響があった場合にはじめて「不眠症」と診断されるようになります。眠れなくても、日中への生活に影響を及ぼしていなければ「不眠」であり、「不眠症」とはいいません。
不眠症 -出やすい症状
不眠症には「入眠困難型」「中途覚醒型」「早朝覚醒型」「熟眠困難型」の4つのタイプがあります。「入眠困難型」は、寝床に入ってもなかなか眠れない状態をいいます。寝ようとするときに、頭の中がさまざまな考えで一杯になってしまうことで眠れない人で、特に不安や緊張が強い人に多い症状です。「中途覚醒型」は、夜中に何度も目が覚めてしまう状態をいいます。夜中トイレに起きた後に再び眠りにつけないなど、特に中高年に多い症状です。「早朝覚醒型」は、朝早くに目が覚めてしまい、そこから眠れなくなる状態をいいます。自分が本来起きたいと思っている時刻より2時間以上早く目が覚め、そこから眠れなくなる状態をいいます。高齢の方やうつ病との関連も指摘されている症状です。「熟眠困難型」は、十分眠れているのにも関わらず、熟眠感が得られない状態をいいます。眠りが浅いので起床時の疲労感も強く、日中もだるさが続く症状です。


不眠症 -原因
不眠症の原因でもっとも多いのは、仕事や人間関係によるストレスです。交代勤務のある仕事の人や残業の多い会社員など、規則正しい生活リズムが保てていないことが大きな要因になっています。パソコンやスマートフォンの長時間使用による生活リズムの乱れや慢性的な痛みや呼吸器の病気といった身体的な問題、産後や更年期の影響、うつ病や不安障害などの精神的な問題も不眠を引き起こす原因です。不眠症の人は、昼間の眠気や集中力の低下、仕事能力の低下、精神が不安定にあるなどの不調が挙げられます。ために入れています。
不眠症 -治療方法
不眠症の治療は、基本的には睡眠の生活指導が行われます。患者さんの睡眠に関する考え方、行動パターンを見直して、健康的な睡眠習慣を築いていきます。例えば、眠れないときにむりに床に就くのではなく、眠くなってから床に入るといった工夫をします。症状によっては医師による慎重な判断のもと、睡眠薬治療を行う場合もあります。不眠症と言っても、症状が一つではなく、複数のタイプが併発する場合もあります。眠れないという悩みの具体的な特徴を知ることで、より適切な対処法につなげていきます。
不眠症 -予防方法
不眠症の予防方法で最も大切なのは、生活リズムを整えることです。毎日同じ時間に起床することで体内時間を整えたり、寝室は静かで暗い環境で適度な温度と湿度を保ちましょう。また、夕方以降のカフェイン摂取は避け、スマートフォンなどの使用も控えましょう。
不眠症 -不眠症のサインに気づくために
「もしかしたら不眠症かも」そんな方へ、寝床に入ってから眠りにつくまでに30分以上かかることが続いていませんか?希望する起床時刻よりも1時間以上早く目が覚めて、その後眠れない状態が続くことはありませんか?十分な睡眠時間をとっているはずなのに、日中強い眠気や疲労感に悩まされていませんか?それにより日中仕事や家事でミスが増えていることはありませんか?上記のような症状が2週間以上続く場合は、不眠症の可能性があります。専門医へ相談し、適切な治療によって良質な睡眠を取り戻していきましょう。

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