眠れない?すぐ眠くなる?家族の睡眠が気になるなど
生活に影響を与える 睡眠 の悩み

自分が快適だと感じる、質の良い眠りを目指しましょう。
眠りについて悩みを抱えていると、日々の生活や仕事に影響を与えることがあります。本人は気がつかなくても周囲の人が気づくことで、重要な病気が見つかることもあります。

監修・取材協力:日本内科学会認定内科医・総合内科専門医
日本睡眠学会専門医
阪野クリニック 院長 阪野 勝久先生

Contents

睡眠の病気 -基礎知識

睡眠は人が生活を送るために必要な行為です。起きている間、私たちは体を支え、動かすために、多くのエネルギーを使います。眠ることで血液を造り、細胞が生まれ変わり、次の活動に備えることができます。睡眠は記憶の定着もしているため、勉強や学習への影響もあります。

そのほか、眠気、不眠など睡眠に関係するトラブルはさまざまあります。睡眠障害の原因も多くの種類があり、ストレス、オンラインゲーム、SNS、体の病気や症状、こころの病気、夜遅い食事とカフェイン摂取が影響することもあります。十分に睡眠をとっているはずなのに、日中に耐え難い眠気に困ることもあります。

睡眠に関しては自分で気がつくこともありますが、睡眠時無呼吸症候群など、家族や仲間の気づきによって病気を発見することもできます。睡眠の専門医に相談し、解決していきましょう。

睡眠の病気 -近年の動向

スマホの使い方が睡眠に影響を与えることもあります。近年、保護者と一緒に睡眠外来を受診する中高生が目立ちます。多くは「朝、起きることができずに学校を遅刻してしまう」という悩みです。どちらかというと、本人の自覚はなく、保護者が心配をしていることが多いようです。

患者はスマホが中高生にも普及し始めた頃から増えてきており、夜遅くまでスマホを使っているなど、スマホの使い方が睡眠に影響を与えているのでは、と考えられています。体内時計のリズムがずれて、入眠困難、睡眠リズム障害などの問題が起き、朝、決まった時間に起きられない、または、昼夜逆転の原因にもなっているようです。睡眠不足の合併も少なくありません。

睡眠の病気 -出やすい症状

次のような症状がある人は良質な睡眠ができていないかもしれません。

  • 疲労感がある。
  • 集中力・注意力・記憶力が低下していると感じる。
  • 仕事や家事の効率が良くない。勉強が進まない。
  • 気分がすぐれない
  • 日中に眠気がある
  • 怒りっぽい
  • やる気が起きない
  • ケアレスミスが多い

睡眠の病気 -注意した方がよい人

生活リズムが毎日、異なる人、慢性心不全など基礎疾患がある人など、さまざまあります。いびきに関しては、自分自身がいびきをかく人のほか、家族のいびきが気になって眠れない人など、周囲の環境が睡眠に影響を与えることもあります。

また、小児期、中高生が睡眠の悩みを抱えていることがあります。本人の自覚症状がない場合も多くあります。

睡眠の病気 -考えられる主な種類と特徴

本人も一緒に寝ている家族も浅い睡眠になりうる
いびき

眠っている時、体内へ酸素の取り込みが悪くなっていると、いびきをかきます。気道が狭まっているので喉が振動して音が発生します。いびきを放っておくと眠りが浅くなり、昼間に眠気が生じることがあります。

原因には肥満、鼻炎、気道の問題、顎の問題、アルコールや睡眠薬の影響などがあります。特に肥満の場合、気道周辺に脂肪がつくことでいびきが発生しますが、気道が完全に閉塞すると、睡眠時無呼吸症候群を発症することがあります。

[意外と多い女性のいびきの原因とは]
女性のいびき、睡眠時無呼吸症候群は見過ごされていることが多くあります。肥満体型や顎が小さいなどの原因もありますが、女性特有の原因として、女性ホルモンと深い関係があるのではと考えられています。


眠れないことで肥満、高血圧などの発症につながることも
眠れない

夜に眠れないことで、昼間の眠気、だるさや気力がわかないなどの症状が出ます。不眠症の中には、なかなか寝付けない「入眠困難」、眠っている途中で何度も目が覚めてしまう「中途覚醒」、自分が起床したい時間よりも早く目が覚めて、その後、眠れない「早朝覚醒」があります。

原因は睡眠と覚醒のバランスがうまく調節できないことにあると考えられています。具体的には、ストレス、生活習慣の乱れ、内科の病気、アルコール・カフェイン・タバコの影響、うつ病や不安障害などがあります。


日中の突然の眠気で勉強や仕事に影響が出る
眠くなる

毎晩、規則正しく十分な睡眠をとっていても、日中に突然、耐え難い眠気が起こる症状を過眠症と言います。その中の代表的な病気に「ナルコレプシー」と呼ばれる慢性の睡眠障害があります。突然居眠りが起き、短時間の睡眠で一時的に眠気は解消しますが、しばらくすると眠気が繰り返し起きます。感情の変化(笑う、怒る)によって、体の一部に脱力感が起きたり、寝入りばなに悪夢を見たり、眠っている時に金縛り状態の症状が起きることもあります。思春期頃から発症し、成人になると自然に消失することが多くあります。

原因は昼間の覚醒に必要な、脳内の神経伝達物質オレキシンの働きが低下しているためと考えられています。

睡眠の病気 -治療方法

まずは検査を行い、原因を見つけます。

睡眠の病気を調べる検査方法があります。1泊2日で行う検査、日中にセンサーをつける検査、自宅で行える検査などさまざまあります。

終夜睡眠ポリグラフ検査
睡眠の質と深さ、呼吸の状態などが分かります。

●パルスオキシメーター検査
自宅で計測することができる、睡眠時無呼吸のスクリーニングが可能です。

●鼻腔通気度検査
睡眠時無呼吸症候群について、治療法を選ぶ時の参考にします。

睡眠の病気 -今すぐはじめる予防と対策

快適な睡眠のために、次のようなことを心がけましょう。

就寝前はリラックス

眠くなってから布団に入る

毎日、同じ時間に起床する

就寝中は暗く、起きたら太陽の光を浴びる

毎日の食事時間を決める

運動習慣を身につける

昼寝をする時は15時前までに20分間

日中の眠気が強い時は専門医に相談する

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