高熱、発疹、倦怠感などがみられる場合、SFTSや日本紅斑熱にかかっているかも。これらを総称して「ダニ媒介感染症」と言います
暑さがゆるみ、野外活動が増える季節になってきました。まだまだ熱中症に気をつけると同時に草むらでの マダニ の吸血に気をつけましょう。
参考資料:厚生労働省「ダニ媒介感染症」、国立感染症研究所「マダニ対策、今できること」
マダニ -基礎知識
予防が第一、噛まれたら医療機関へ
ダニ媒介感染症とは、病原体(ウイルスや細菌)をもっているマダニに刺されることで、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)などを発症する感染症のことです。SFTSは2011年に中国で新しい感染症として流行していることが報告された病気です。発熱や倦怠感、下痢などの初期症状があり、重症化すると死亡することもある感染症です。そのため、厚生労働省などがマダニが媒介する感染症に注意を呼びかけています。
野外作業、農作業、レジャー等で草むらなど、ダニが生息する場所に立ち入ることで、マダニに刺される可能性があります。マダニは民家の裏山や裏庭、畑のあぜなどにも生息しているので、身近な場所での活動にも注意が必要です。
マダニは皮膚にしっかりと口器を突き刺し、長時間、時には10日間以上も吸血します。刺されたことに気がつかない場合も多いようです。マダニを無理に取り除こうとすると化膿することがあるので、皮膚科などの医療機関で処置してもらいましょう。
予防法はマダニに噛まれないように服装に気をつけること。マダニ用の虫除け剤もあるので、活用しましょう。また、ネコやイヌにも吸血するので、ペットの散歩にも気をつけましょう。
もし、ダニに噛まれた場合は速やかに皮膚科などの医療機関を受診することをおすすめします。受診時は「野外活動の日付、場所、発症前の行動」を医師に伝えましょう。
マダニ -予防と対策
マダニ のはなし
●吸血前後で大きさが変わる?!
普段は小さなマダニですが、吸血すると3倍の大きさになります。
ペットボトルキャップ 3cm
マダニ(吸血前) 約0.5cm
マダニ(吸血後) 約1.5cm
知っておきたい ダニ媒介感染症
●重症熱性血小板減少症候群(SFTS)
発熱、吐き気、腹痛、下痢、下血が見られます。筋肉痛や神経症状が現れることもあり、血液検査をすると、血小板減少(10万/㎣未満)、白血球減少(4000/㎣未満)、血清酵素(AST、ALT、LDH)の上昇が認められます。致死率は10~30%程度です。
中国で新しい感染症として報告された2011年以降、アジアの広い地域で流行しているとされています。日本では、2013年1月に国内で初めてSFTSが確認された後、毎年60~100名程度の患者が報告されています。
●日本紅斑熱
発熱、発疹、刺し口が見られ、頭痛、倦怠感が出ます。ツツガ虫病と似ていますが、日本紅斑熱の方が発疹がやや四股の末端に出ることが多くあります。近年、国内での発生報告、死亡者の報告もあります。
●ダニ媒介脳炎
日本ではあまり知られていませんが、世界では珍しくない病気です。感染してもほとんどは発症することはありませんが、病状が出る場合は発熱や中枢神経障害など、さまざまな症状がみられます。
●ライム病
筋肉痛、関節痛、頭痛、発熱などのインフルエンザのような症状を伴うことがあります。時間をおいて皮膚症状や神経症状、心疾患の症状が出ることもあります。
●ツツガムシ病
全身倦怠感、食欲不振、頭痛、悪寒、発熱などが現れます。体温が段階的に上昇して、40℃に達することもあります。顔面や体幹に多く発疹が出ることもあります。重症化すると肺炎や脳炎症状を起こすことがあります。
●クリミア・コンゴ出血熱
出血熱が特徴の感染症。ウイルスが哺乳動物とマダニの間で維持されるため、ヒトへはマダニのほか、ヒツジなどの家畜を解体する際に感染することもあります。海外では死亡例が報告されているので、海外へ渡航する人に注意が呼び掛けられています。