マダニ、スズメバチ、ヤマビル
キャンプ中の 虫刺され に注意

虫刺され イメージ

マダニは感染症に、スズメバチは苦しさや意識を失うことも
キャンプ、バーベキュー、草刈りなど、野外活動をしている時に気をつけたい虫刺され。刺されると痒くてたまらない蚊だけではなく、感染症や死に至る虫刺されもあるため、野外活動を始まる前の対策と、いざという時のための対処法を知っておくことが大切です。

参考資料:国立感染症研究所「マダニ対策、今できること」、厚生労働省「ダニ媒介感染症」「蜂刺され災害を防ごう」

Contents

虫刺され -基礎知識

体調が悪くなったら医療機関を受診

夏の暑さが和らぎ、キャンプなどのレジャーや夏の間に伸びた草木伐採の作業など、野外活動が多くなる時期ですが、熱中症対策に加えて、虫刺されによる被害も防ぐようにしましょう。

厚生労働省は蚊・ダニ媒介感染症の予防啓発をしています。肌の露出が増えると、病原体をもった蚊やダニに刺されたり、咬まれたりして、危険性が高まるためです。国内での発生報告数が多く、死亡事例も報告されています。特に、マダニに咬まれることで「日本紅斑熱」や「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」に感染する恐れがあるため、注意が呼びかけられています。

マダニに関しては野外活動中だけでなく、外から家に持ち込んでしまうケースもあるため、家に入るときは上着や作業着を家の中に持ち込まず、入浴をしてダニに噛まれているところはないかチェックをしましょう。

また、スズメバチは激しい痛みや息苦しさ、アナフィラキシーショックを起こすと死亡することもあります。7〜10月が危険な時期になるので、十分な注意が必要です。

また、気づかないうちにヤマビルが足元、首筋にいた、ということもあります。皮膚が傷つき、かゆみや気が付かないうちに出血していることもあります。

キャンプなど、野外活動をした後に高熱や赤い発疹がある場合、気分が悪い場合は速やかに医療機関を受診しましょう。その時に野山、草むらへ入ったことも伝えましょう。

虫刺され -考えられる主な種類と特徴

マダニから媒介される感染症

重症熱性血小板減少症候群(SFTS)

血小板の減少、白血球の減少、血清酵素(AST、ALT、LDH)上昇がみられ、発熱、嘔吐、腹痛、下痢、下血があります。時には、筋肉痛や神経障害も起きます。ネコやイヌに感染することもあります。


日本紅斑熱

肝機能障害や血小板数低下がみられます。頭痛、発熱、倦怠感があります。早期に抗菌薬を処方することが必要になります。

虫刺され -注意したい虫と対処法

●マダニ
野生動物が出没する環境と民家の裏山や裏庭、畑、あぜ道などに生息しています。一度吸血すると10日間以上吸血することも。しかし、吸血中のマダニを無理矢理取り除こうとすると、マダニの口器が皮膚に残って可能することがあるため、皮膚科等の医療機関で処置を受けましょう。
吸血(刺される、噛まれる)前の対策が必須です。マダニに対する忌避剤(虫よけ剤)もあります。完全に避けられるわけではありませんが、複数の対策と組み合わせて使うと良いでしょう。
マダニを媒介する感染症には、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)、日本紅斑熱、クリミア・コンゴ出血熱、回帰熱、ダニ媒介脳炎、ツツガムシ病などがあります。

●ハチ
刺すハチにはアシナガバチ、スズメバチ、ミツバチ、マルハナバチなどがいます。ミツバチは一年中、活動していますが、アシナガバチは7〜8月、スズメバチは7〜10月が最も危険な時期になります。
ハチの巣に近づかない、触らない、また、ハチがえさをとっている時は近づかず、速やかに静かに離れるようにしましょう。巣に接近するとハチが高い羽音を発して飛び回ります。オオスズメバチは大顎を噛み合わせてカチカチと威嚇音を出してくるので、巣が見えなくてもその場から離れましょう。
刺されると、軽症の場合は顔や体が赤くなり、全身のかゆみ、だるさ、苦しさを感じます。中症では、喉の詰まりや胸苦しさ、口の中が痺れた感じ、腹痛、下痢、吐き気、頭痛、めまい、全身むくみがあります。重症になると、息をするのも苦しくなったり、目が見えなくなったり、耳が聞こえなくなったりして、意識がもうろうとします。この場合は緊急処置を行います。
対処法としては、刺された場所を水で洗い流します。赤く腫れた部分には抗ヒスタミン軟膏を塗ります。発疹、涙が出る、咳が出る、嘔吐や下痢がある場合は医師の手当を受けるようにしましょう。

●ヤマビル
低山や里山に多く生息し、湿った場所に潜んでいます。
死に至ることはありませんが、かゆみ、腫れが起きることがあり、時には、出血することもあります。無理にはがさず、虫よけスプレーや消毒用エタノールをかけてとります。傷口は流水で洗い流し、抗ヒスタミン剤(虫刺されの薬)を塗りましょう。

キャンプに行く前の事前チェック

□ 肌の露出を少なくする。長袖、長ズボン、登山用スパッツ着用。シャツの裾はズボンの中に、ズボンの裾も靴下の中に入れてすきまを無くします。
□ サンダルは履かない。
□ 虫除けスプレーをする(マダニ用、ヤマビル用あり)。
□ 明るい色の服を着る(マダニを見つけやすいため)。
□ 黒いものを身につけない。服、靴、カメラなどに注意(スズメバチ対策)。
□ スズメバチはヘアスプレー、香水、体臭に反応し、興奮することがあるため、臭いのあるものを身につけない。
□ スズメバチはジュースをえさにすることがあるため、ジュースを飲むときは残さず、唇や指についたジュースを拭く。

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