主に5歳以下の子どもに多く流行する感染症
手足口病

毎毎年7月頃をピークに流行しやすい「手足口病」。最近は大人の感染報告も増えてきており、子どものいるご家庭の家族の方も要注意。
「子どもの3大夏風邪」のひとつで、手のひらや足の裏、口の中や周りに赤みや水ぶくれ(水疱)が現れます。

監修・取材協力:あんどう内科クリニック
安藤 大樹 院長

あんどう内科クリニック安藤大樹先生
Contents

手足口病 -基礎知識

手足口病の約9割は5歳以下の子どもが感染している

手足口病の主な原因ウイルスは、コクサッキーウイルスやエンテロウイルスです。手足口病は、感染者の席やくしゃみを吸い込むことで感染する「飛沫感染」や、おむつ交換の時に触れて感染する「接触感染」などによって感染が流行します。また水疱が破れ、水疱の中にあるウイルスを触って感染することもあります。ヘルパンギーナと咽頭結膜熱(プール熱)とあわせて「子どもの3大夏風邪」のひとつです。

手足口病 -出やすい症状

手足口病の潜伏期間は3~5日程度

手足口病は、口の中や手のひら、足の裏、肘、膝、お尻などに水疱が現れます。特に、口の中にできる水疱は痛いことが多く、食事を摂るのもつらいほどの激痛になるといわれています。

手足口病の潜伏期間は3~5日で、手や足、口に水疱性の発疹が現れたあとに37℃台の発熱や手足口以外にも発疹が現れるようになります。多くは自然に解熱していき軽快しますが、稀に脳炎や無菌性髄膜炎を引き起こします。軽快して1か月以内に手足の爪が剥がれ落ちることもあるので、治った後も油断せず慎重に経過をみていきましょう。

手足口病 -感染したときの登園・登校について

手足口病の出席停止基準、出勤停止基準は特に定められていません。つまり、「元気があれば出席(出勤)可能」です。学校保健安全法では「本人の全身状態が安定しており、発熱がなく、口腔内の水疱・潰瘍の影響がなく普段の食事がとれる場合は登校(園)可能」と定められています。水疱・潰瘍が落ち着くまでは自宅にて安静にしましょう。

手足口病 -治療方法

手足口病の治療は、インフルエンザやCOVID-19のような原因ウイルスに対する抗ウイルス薬はありません。そのため、解熱剤や鎮痛剤、炎症を抑える塗り薬、かゆみを抑える飲み薬、脱水予防の点滴など、それぞれの症状を和らげる対症療法が中心になります。

手足口病 -今すぐはじめる予防と対策

手足口病に感染しないためには、「こまめに石けんで手洗い、うがいをする」「咳エチケットを心がける」「排泄物に直接触れないように、適切な処理をする」「タオルや食器は共有せずに使い分ける」ことが大切です。手足口病は、幼稚園や保育園などの集団生活の中で急速に流行します。近年は、大人の手足口病の感染報告も増えているので、小さなお子さんがいるご家庭は注意しましょう。

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