皮脂分泌が多い頭皮はトラブルが起きやすい!
頭皮にかゆみがある、髪が薄くなってきたなど、赤ちゃんから高齢者まで、頭皮や髪に関する悩みを持つ人は多くいます。加齢や体質、ストレス、外部刺激、内分泌異常など、さまざまなことが原因となって症状が現れます。気になる症状がある場合は早めに医療機関を受診しましょう。
監修・取材協力:日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医 さとみ皮フ科クリニック 院長
田内 里美 先生
頭皮 ・髪のトラブル -基礎知識
頭皮は全身の中で皮脂腺が一番多く、皮脂の分泌が盛んな場所。皮脂や汗を栄養とするカビの一種マラセチア菌という常在菌が存在し、健康な頭皮では、皮脂膜や常在菌が雑菌や細菌から頭皮を守ってくれています。
頭皮も肌と同じように、約28日周期でターンオーバーが繰り返され、新たな細胞が作られています。しかし、ホルモン異常やストレス、生活習慣、汗、ヘアケア剤など、何らかの影響で皮脂や常在菌のバランスが乱れると、正常な状態に戻ろうとしてターンオーバーの周期が早まり、ふけやかさつきが起こり、刺激に敏感になってしまいます。
頭皮 ・髪のトラブル -近年の動向
高齢化に伴い、脱毛症で悩む人が増えています。また、加齢とともに脂漏性湿疹や脂漏性角化症(いぼ)を発症する人も増えています。
頭皮 ・髪のトラブル -出やすい症状
ふけ、かさつき、かゆみ、炎症、吹き出物、ニオイ、脱毛などが挙げられます。
頭皮 ・髪のトラブル -注意した方がよい人
- 中高年男性
- 抜け毛が多い人
- 頭皮がよくかゆくなる人
- 日頃からふけが気になる人
頭皮 ・髪のトラブル -考えられる主な種類と特徴
かゆみやフケがシャンプーをしても治まらない
脂漏性湿疹(脂漏性皮膚炎)
赤くかゆみを伴う湿疹が、頭皮や顔周りなど皮脂が多く分泌される場所に出る皮膚疾患。表面の皮膚が薄くむけたり、カサカサする症状が見られ、頭皮に発症すると、剥がれ落ちた皮膚が白い粉を吹いたようなふけとなったり、地肌にこびり付いたりします。40代以降の中高年男性が最も多く、脂の分泌が盛んな赤ちゃんにも見られます。
皮膚が赤くなり盛り上がる
乾癬 かんせん
皮膚が赤くなる、皮膚が盛り上がる、表面を覆う銀白色の細かいかさぶたができる、ふけのように剥がれ落ちる、かゆみが出るなどの症状が、額の生え際や、ひじ・ひざ、指、お腹などに見られます。原因は解明されていませんが、最も多いのは40代以降の中高年男性。乾燥によって症状が悪化する場合があるため、冬は注意が必要。
外部刺激によって起こる皮膚の炎症
接触性皮膚炎(かぶれ)
シャンプーやトリートメント剤、育毛剤、カラー剤、ヘアトニック、化粧品などが刺激やアレルギー反応となって、かゆみや痛み、赤みを伴う湿疹が出る皮膚疾患。日常的に使用しているものや身近なものによって突然症状が出る場合があり、原因が分かるまでに時間がかかることがあります。
成人男性に見られる進行性の脱毛症
男性型脱毛症(AGA)
思春期以降、髪が軟毛化して細く短くなり、額の生え際や頭頂部が薄くなる進行性の脱毛症。生え際から後退するタイプと、頭頂部から薄くなるタイプ、混在するタイプがあります。遺伝や男性ホルモンの影響、ストレスが主な原因と考えられ、日本人男性の30%に発症すると言われています。近年では、有効な外用、内服の治療薬の開発が進んでいます。
全体的に髪が薄くなる女性に多い脱毛症
びまん性脱毛症
髪の密度が全体的に低下する、女性に多く見られる脱毛症。びまん性とは“広範囲に広がる”という意味で、はっきりとした境界がないのも特徴。30代後半から中高年にかけて見られ、加齢によるホルモンの影響やストレス、ダイエットが主な原因と考えられています。
頭皮 ・髪のトラブル -治療方法
症状に合わせて、飲み薬(内服薬)や塗り薬(外用薬)、光線療法などで経過を観察します。
頭皮 ・髪のトラブル -今すぐはじめる予防と対策
健やかな頭皮が丈夫な髪を育てます
毛髪すべてに皮脂腺があるため、頭皮は最も汚れやすい場所とも言えます。髪を洗う際は、“頭皮を洗う”という意識を持つことも大切です。ターンオーバーが乱れると、ヘアサイクルが乱れる原因にもなります。頭頂部は紫外線の影響を受けやすく、またスマホやパソコンによる目の疲れが頭皮に悪影響を及ぼすこともあります。
頭皮 ・髪のトラブル -リスク度チェック
□ 最近抜け毛が多い
□ シャンプーをしてもかゆみが治まらない
□ 頭部が白い粉を吹いた状態
□ 頭皮や生え際が赤く炎症を起こしている
□ 頭皮がかゆい