3月3日は耳の日です。聴覚や平衡感覚をつかさどる大切な 耳 に異常はありませんか。
最近、耳の聞こえが悪いと感じていませんか。くるくる目が回るめまいや耳鳴りはありませんか。耳の中に痛みやかゆみはありまませんか。耳の日にちなんで、よくある大人の耳の病気をご紹介しましょう。
監修・取材協力:日本耳鼻咽喉科専門医
気管食道科認定医
森耳鼻咽喉科医院
森 芳郎 院長
大人の耳の病気 -基礎知識
難聴を放置すると認知症の恐れあり⁉
耳は「音を聞く」という役割を担う大切な聴覚器官です。空気の振動を感知して脳で音として認識するため、外耳→中耳→内耳→蝸牛神経→脳のどこかに異常が起きると、難聴の症状が出てくることがあります。よくある難聴は、「突発性難聴」や「加齢性難聴」です。難聴になると人とのコミュニケーションが減り、家にひきこもりがちになることで認知症を発症しやすくなるため、最近では難聴治療が積極的に進められています。
また、耳にはもうひとつ大切な役割があります。それはバランスをとる「平衡機能」です。平衡感覚は内耳の前庭器官と三半規管がつかさどるもの。私たちがまっすぐ立てるのは、ここで体の位置や動きの変化を感じているからです。耳が原因でよくあるめまいの病気は「良性発作性頭位めまい症」や「メニエール病」。しかし、めまいの原因は多様であり、脳卒中、糖尿病、血圧の変動などによる場合もあるため、まずは原因をはっきりさせることが大切です。
- 音の伝わり方
- 耳介で音を受ける
↓ - 音は外耳道を共鳴しながら通り、鼓膜に伝える
↓ - 鼓膜が震える
↓ - 3つの耳小骨に伝え、音を増幅させていく
↓ - 蝸牛で空気の振動を音の信号に変える
↓ - 蝸牛神経
↓ - 脳
大人の耳の病気 -注意した方がよい人
外耳道に炎症が起きる「外耳炎」も大人に多い耳の病気。耳かきをよくする人やイヤホンをつけることが多いなど、外耳をよく触る人に起きやすい病気です。
大人の耳の病気 -考えられる主な種類と特徴
急に耳が聞こえなくなった!
突発性難聴
ある日突然、耳が聞こえなくなるという強い難聴が発症したら「突発性難聴」が疑われます。40~50代の中高年に多く、耳鳴りや耳閉感、めまい、耳の痛みなどの難聴以外の症状を伴うことも多々あります。治療が遅れると聴力の回復が難しくなるので、できるだけ早く治療を開始することが大切。治療は安静と薬物療法ですが、安静を保つためには1~2週間程度の入院が必要となることもあります。
中高年の難聴は認知症リスクに!
加齢性難聴
加齢とともに進む内耳の老化による難聴。自覚症状はなくても、実は30~40代頃から少しずつ進んでいき、高齢になると顕著化します。老化による聴力の低下はある程度防ぎようがありませんが、補聴器の使用で聴力をカバーすることができます。中高年の難聴は認知症のリスク扱いになっているため、注意しましょう。
急なめまいで転倒注意!
良性発作性頭位めまい症
耳が原因のめまいの中ではもっとも多い病気。起床時など、頭や体の位置を変えたときに、急にぐるぐると目が回ります。通常は1分以内で治まり、長くても5分以内。これを何回も繰り返し、繰り返しているうちにだんだんめまいが軽くなるのが特徴です。骨粗しょう症を患う50代・60代以上の女性に多くみられるため、転倒・骨折に要注意です。普段から運動を心がけて予防しましょう。
メニエール病
回転性の激しいめまいと耳鳴りが起こる耳の病気。数十分~数時間、長い人では半日以上、動けないほどの激しいめまいが起こり、吐き気を伴います。めまい発作時には内耳の中を流れる内リンパ液の量が増えることが分かっています。薬物療法だけでなく、ストレスや過労を避け、十分な水分補給や適度な運動を行うことも大切です。
耳かきのやりすぎ注意!
外耳炎
耳の入り口から鼓膜までを「外耳道」といいます。ここで起こる炎症が「外耳炎」で、痛みやかゆみ、耳だれなどを繰り返します。原因で一番多いのは、耳そうじのやりすぎ。耳には自浄作用があり、耳垢は自然に外へと出ていくため、耳そうじは、入浴後に綿棒で軽く拭く程度で十分です。
加齢性難聴⁉ -自己チェック
加齢性難聴は自分では気づきにくいものですが、最近の聞こえ方をよく振り返ってみましょう。周囲の人に聞いてみるのも良い方法です。
□ 聞き違いや聞き間違えが多くなった。《聞き間違い例》佐藤さん→加藤さん 1時→7時
□ 虫の音、小鳥のさえずりが聞こえない。
□ 高い鈴音が聞こえにくい。
□ テレビの音量が大きくなった。
□ 病院や銀行で名前を呼ばれても気がつかない。
□ 相手の話を聞き返すことが多くなった。
難聴 ・耳鳴り 「加齢性難聴」若者に増えている「イヤホン難聴」は意識的に予防することでリスクを抑えましょう。加齢による 難聴 は40歳代から、また、大音量の音を長期間、聞き続けている若者にも難聴の心配がされているように、年齢問わず 難聴・耳鳴り の症状が出てくる可能性があります。