花粉症 の症状が深刻化すると健康や成長に影響も
子どもの 花粉症 予防と治療

子どもの花粉症

花粉飛散量の増加や生活習慣の変化などで近年急増
深刻になると注意力の散漫や睡眠不足などを引き起こし、子どもの健康や成長に影響を及ぼす心配があります。

監修・取材協力:またまるこどもアレルギークリニック
森田 秀行 先生

またまるこどもアレルギークリニック森田秀行先生
Contents

子どもの 花粉症 -基礎知識

花粉症はアレルギー反応の一種。体内で花粉が異物とみなされ、外に追い出そうとくしゃみや鼻水、鼻づまり、目のかゆみ、皮膚のかゆみといった症状が出ます。子どもの花粉症の症状は、大人の症状と大きな違いはありませんが、大人に比べると鼻腔は狭く、鼻づまりを起こしやすい傾向にあります。

子どもの 花粉症 -近年の動向

スギの木の増加や地面のアスファルト化、さらに温暖化などによって、年々花粉飛散量は増加しています。それに伴い、年齢・性別に関わらず花粉症患者数が増加。「アレルギー性鼻炎ガイド(2021年版)」によると、10歳以下の花粉症の有病率は1998年から20年間で約3.5倍と急増し、0〜4歳で3.8%、5〜9歳で30.1%、10〜19歳で49.5%とかなりの割合を占めています。

花粉と黄砂・PM2.5の関係

花粉が飛散する時期は、黄砂やPM2.5の飛散が増える時期でもあります。花粉は、黄砂や大気汚染物質などに接触すると割れて粒子が小さくなり、より体内に侵入しやすくなる特徴を持っているため、近年増えている黄砂やPM2.5と結びつくことでアレルギー症状が出やすくなると言われています。

子どもの花粉症

子どもの 花粉症 -原因

花粉症が増えた原因は大気汚染などの環境変化や、食生活の変化、スギの木などの増加、温暖化による花粉飛散量の増加などが挙げられます。子どもの花粉症が増えた背景には、乳幼児期における腸内細菌の変化や、衛生仮説(清潔で衛生的な環境で過ごすことで感染の機会が減り、アレルギー疾患を引き起こしやすくなるという説)などが提唱されています。

子どもの 花粉症 -出やすい症状

大人と子どもで症状の出方に大きな違いはなく、一般的に、鼻水、鼻づまり、くしゃみ、目の痒みといった症状が見られます。その他、皮膚の症状がでる子も少なくありません。大人に比べると鼻腔が狭いこともあり、子どもの方が鼻づまりは起こしやすく、一番辛い症状は何かという質問でも「鼻づまりが最もつらい」と答えた子が多いとされています。当院でも、「鼻の詰まりがひどく眠れないので何とかしてあげたい」との訴えで、お子さんを連れて来られる両親が多いです。
症状が深刻になると注意力の散漫や睡眠不足などを引き起こし、子どもの成長に影響を及ぼす心配があるため、気になる症状があれば早めに医療機関を受診しましょう。

子どもの花粉症

子どもの 花粉症 -検査方法

アレルギー体質があるかどうかについての検査には、鼻水の中に好酸球が含まれているかどうかを調べる「鼻汁好酸球検査」や、血液検査により特定のアレルゲンに対するIgEを持っているかを調べる「特異的IgE検査(RAST)」などがあります。

子どもの 花粉症 -治療方法

花粉症の治療には、抗ヒスタミン薬や鼻噴霧用ステロイド薬から開始することが多いです。目のかゆみに対しては抗アレルギー薬点眼またはステロイド点眼を行います。小さな子は点鼻や点眼は嫌がってうまくできないケースも珍しくないため、その場合は内服薬を用います。これらは対処療法であり、より積極的な治療法としては、舌下免疫療法(ぜっかめんえきりょうほう)が挙げられます。

5歳から治療可能「舌下免疫療法」

アレルギーの原因物質(アレルゲン)を少しずつ体内に入れることで免疫反応を変化させ、永続的に症状を和らげるまたは出なくさせるという治療法。2018年以降は、5歳以上の子どもも受けられるようになりました。1日1回、舌の裏にお薬を置くように投与し、3~5年間にわたり継続して服用します。スギ花粉が飛んでいない6~12月に治療を開始します。現在はスギとダニに限られ、また長期にわたる治療ですが、内服薬で治療できるため、希望する患者さんが増えています。5歳未満の方や重症の気管支喘息の方など、受けられない方もいますので医師に相談しましょう。

舌下免疫療法
舌下免疫療法(©medical terrace produced by ad-kit.)

子どもの 花粉症 -今すぐはじめる予防と対策

最も重要なのは花粉を出来る限り避けること。家族みんなが気を配り、対処していくことが大切になります。

□外出時はマスクやメガネ、帽子を着用する
□玄関に入る前に衣類に付いた花粉を払い落とす
□帰宅時には手洗い・うがい・洗顔をする
□換気は必要最低限とし、空気清浄器を使用する
□花粉が多い日は外に洗濯物を干さない
□公園遊びは比較的飛散量が少ない午前中にする

その鼻水、風邪?花粉症? -自己チェック

子どもは症状をうまく伝えることができません。花粉症は風邪の症状と似ているため、どちらかわからない場合も多いです。その場合、鼻水の状態をチェックしてみましょう。

◆花粉症などアレルギー性の場合
透明で水っぽい鼻水が大量に出る傾向にあります。
◆風邪の場合
発熱やせきなどの症状を伴う粘り気の強い鼻水が見られる傾向にあります。

目や鼻にかゆみがある場合や、外に出ると症状がひどくなるが室内に入ると比較的落ち着く場合、くしゃみが連続してとまらない場合も、花粉症などアレルギー性による可能性が高いです。

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