「夏風邪」「食中毒」「皮膚炎」夏は感染症によるトラブルが多くなる季節です
令和5年の夏、子どもの夏風邪の一つ「ヘルパンギーナ」が流行しています。
旅行や帰省などで各地を移動したり、人とコミュニケーションが多くなりますが、熱中症と共に、 夏の感染症 の予防対策もしっかり行いましょう。
参考資料:厚生労働省「感染症情報」、「わかりやすい感染症Q&A」、日本皮膚科学会「皮膚科Q&A」
夏の感染症 -2023年度の動向
特に子どもの感染症に注意
夏風邪と言われる「ヘルパンギーナ」や「手足口病」の流行は例年、5月頃から始まり、7月にピークを迎え、年末頃まで続きます。今年は6月頃からヘルパンギーナの患者数が増え、東京都や大阪府では例年より早い時期に「流行警報」レベルを大きく超えました。また、冬に流行する「RSウイルス」の流行もみられるとのこと。特に小さな子どもは感染しやすいため、しっかり感染症予防をする必要があります。
夏は皮膚のトラブルも多くなる季節です。皮膚の感染症には「とびひ」「水いぼ」など、かゆみを伴うことがあります。かいた手で他の場所の皮膚にふれてしまい、さらに症状が広がることもあるので注意が必要です。子どもは思わずかいてしまうことがあるので、かかない工夫をすることも必要です。皮膚を清潔に保つことで予防につながります。
感染症ではありませんが、あせもやアトピー性皮膚炎によるかゆみによって、爪や手から細菌に感染することもあるので、気をつけましょう。
知っておきたい 夏の感染症 –内科編
●ヘルパンギーナ
高熱が出て、喉の痛みを伴うコクサッキーウイルスによる感染症です。発熱が続き、食欲不振や全身のだるさを感じることもあります。小さな子どもがかかりやすく、咳をした時の飛沫からの感染のほか、便にウイルスが排泄されるため、おむつ替えの時などは手を洗うことを徹底しましょう。
●手足口病
口の中や手足に水疱性の発疹が出る、ウイルスによる感染症です。発熱しないこともあり、発熱しても高熱にならないことがほとんどです。まれに、髄膜炎などの合併症があります。集団生活をしている乳幼児が感染することが多くあります。
●咽頭結膜熱(プール熱)
発熱、のどの痛み、結膜炎などの症状が出る、アデノウイルスによる感染症です。プールを介して感染することがあるため、プール熱とも呼ばれています。自然治癒することがほとんどですが、吐き気や頭痛が強い時は早めに医療機関を受診しましょう。
●食中毒
食品を食べた直後、または時間が経ってから腹痛、吐き気、おう吐、下痢などが起こります。細菌、ウイルス、化学物質など原因はさまざまあります。気温も湿度も高くなる夏は特に注意をしましょう。
知っておきたい 夏の感染症 –皮膚編
●とびひ(伝染性膿痂疹)
ブドウ球菌や連鎖球菌による感染症です。あせもやアトピー性皮膚炎、虫刺されなどによって爪でかいた時、爪に菌がついていた場合に感染します。治療には抗生物質が使われることがあります。
かゆみが出た場合、皮膚を冷やしてかゆみを抑えたり、爪や手を常に清潔にしておくことで感染症を予防しましょう。
●水いぼ(伝染性軟属種)
ウイルスによる感染症です。治療としてピンセットで取る処置がありますが、痛みを伴います。痛みが伴うため放置する場合もありますが、治癒する間に数が増えたり、人に感染させてしまったりする場合もあるため、相談しながら治療を行います。
かきむしるなど皮膚に傷をつけないこと、免疫を低下させないことで予防につなげます。
●白癬
皮膚糸状菌という真菌(カビ)による感染症です。夏は足白癬、いわゆる水虫が増えます。足白癬は足の裏に水脹れが現れ、水脹れが破れると足の指の間の皮が剥けたり、白くふやけたり、足の裏全体が硬くなることがあります。かゆいイメージがありますが、ほとんどの人はかゆみを感じません。ただし、夏になるとかゆみを感じることが多くなります。かゆみを感じないため、気がつかないうちに白癬菌をほかの人にうつしている可能性があります。疑わしい症状がある場合は一度、皮膚科を受診をしましょう。
●マダニやツツガムシからの感染症
国内では主に、マダニにからの日本紅斑熱やライム病、ツツガムシからのつつが虫病、などが報告されています。
日本紅斑熱は高熱が出てかゆみのない赤い発疹が現れ、刺し口が見られます。重症化する場合もあります。つつが虫病も高熱が出て、全身の倦怠感や頭痛などが伴います。ライム病は赤い皮疹と倦怠感や発熱がありますが、軽症の場合は気が付かないこともあります。顔面麻痺や神経症状が現れた場合は適切な治療を行うことが大切です。