環境に関係なく、必要以上に多量の汗をかく症状
多汗症

原発性手掌 多汗症 の患者は、国内で約493.1万人いると推計されています
手足をはじめ、全身などに異常なほどに汗をかいてしまう症状は「 多汗症 」と呼ばれています。放っておくと日常生活に支障をきたすほどの汗が出てしまいます。

監修・取材協力:おおがき皮膚科クリニック 院長 皮膚科専門医
澁谷 佳直 先生

Contents

多汗症 -基礎知識

全身に汗をかく症状、身体の一部に汗をかく症状があります

多汗症には、全身に汗が増加する「全身多汗症」と、体の一部に汗が増加する「局所性多汗症」があります。「局所性多汗症」に分類される「原発性手掌多汗症」や「原発性腋窩多汗症」などは、普段通り過ごしているだけで特に病気などの明らかな原因がないにも関わらず、手のひらや脇などにたくさんの汗が出てしまうのが特徴です。生活の質を大きく低下させる可能性があるので、早めに医療機関の受診をおすすめします。

多汗症 -近年の動向

比較的若い年代から発症することが多いとされています

多汗症は、多くの人が10代で症状が現れ始めると言われています。平均発症年齢は13.8歳と比較的若い時点で発症し、これが成人になっても続きます。
左右の手のひらや脇の汗の多さが原因で、学校生活や職場において資料を汗で濡らしてしまったり、シャツに汗染みができてしまうなどの症状がよくみられます。また、詳しい治療方法を知らない人も多いため、成人になってからも一人で悩みを抱えてしまう方が大勢いると考えられています。

多汗症 -セルフチェック

自分で簡単にセルフチェックができます

左右の手のひらや脇の汗の多さによって、日常生活に支障をきたす症状が6ヵ月以上続く場合は多汗症が疑われます。下記図の項目で、6症状のうち2項目以上当てはまる場合は「原発性手掌多汗症」や「原発性腋窩多汗症」と診断されることがほとんどです。セルフチェックで簡単に確認することができるので、「自分も当てはまるかも」と不安を感じる方はチェックしてみましょう。

□ 最初に多汗症状が出たのが、25歳以下であること
□ 左右両方で同じように発汗がみられること
□ 睡眠中は発汗が止まっていること
□ 1週間に1回以上多汗の症状が出ること
□ 家族にも同じ症状の方がいること
□ 汗のために日常生活に支障をきたしていること

多汗症 -治療方法

多汗症 は、適切な治療で発汗を抑えることができます

発汗を完全になくすことはできませんが、発汗を抑える治療方法は多く存在します。「原発性手掌多汗症」の主な治療方法としては、塗り薬・注射薬・飲み薬・イオントフォレーシス・手術などがあります。

原発性手掌 多汗症 の主な治療方法
原発性腋窩 多汗症 の主な治療方法


「原発性腋窩多汗症」の塗り薬であるエクロック®ゲルは、日本で初めて保険適用が認められた外用薬として知られていますが、2023年6月1日には、「原発性手掌多汗症」の治療のひとつとして、日本で初めて保険適用が認められたアポハイド®ローション20%という外用薬も注目されています。
アポハイド®ローション20%は手のひらの皮膚から吸収され、皮膚の下にある交感神経から出される発汗を促す物質をブロックすることで、過剰な発汗を抑えることが期待されています。毎日使用を続けることで安定した効果を実感することができるので、医師または薬剤師の指示に従って塗るようにしましょう。

「原発性手掌 多汗症 」の塗り薬
アポハイド®ローションの使い方

①薬を塗る前に、手のひらの水分をよく拭きとる

②手のひらに薬を適量出す
 (1回分の目安は5プッシュ)

③左右の手のひらに均等に塗り広げる

④薬を塗ったまま、就寝

⑤起床後、手を流水でよく洗う

※手を洗ったあと、再度薬を塗る必要はなし
※異常があった場合は薬の使用を中止し、すぐに医師や薬剤師に相談してください

治療については、一人一人の症状を正確に診ながら、医師と相談して進めていきます。適切な診察で、自分に合った治療方法を見つけていくことがポイントです。

多汗症 -今すぐはじめる予防と対策

普段の生活習慣も見直してみましょう

多汗症は、遺伝や精神的ストレス、生活習慣などが原因とされることが多く挙げられます。バランスの良い食事や適度な運動、十分な睡眠、涼しい服装選びなどを心掛けていくことも大切です。多汗症は恥ずかしい病気ではありません。一人で悩まず、周囲の人に相談したり、早めに医療機関を受診しましょう。

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