インフルエンザや新型コロナウイルスなどと初期症状が似ており、早期に マイコプラズマ肺炎 と診断することが難しい
コロナ禍以降、およそ4年に一度の周期での流行が一般的であったが、近年は従来の周期性を大きく逸脱する流行が続いています。
監修・取材協力：まついファミリアクリニック
院長 松井 聡
マイコプラズマ肺炎 －基礎知識
3歳～小中学生くらいの子どもの感染が多くみられる傾向あり
マイコプラズマ肺炎とは、「肺炎マイコプラズマ」という細菌が原因で起こる呼吸器感染症であり、細胞壁という一番外側の膜を持たない、従来の肺炎菌とは異なる特徴があります。
飛沫感染や接触感染で流行するとされており、感染してから発症するまでの潜伏期間は2～3週間です。幼稚園や学校などの集団生活で一気に感染が広がる可能性があり、特に3歳～小中学生くらいの子どもたちの感染が多くみられ、注意が必要です。感染した人全員に肺炎の症状がみられるわけではありませんが、家庭内感染は約40%の確率でみられるともいわれています。
マイコプラズマ肺炎 －診断の難しさについて
マイコプラズマ肺炎と診断するのが難しい理由
マイコプラズマ肺炎の初期症状は発熱、倦怠感、頭痛、咽頭痛など、他の上気道感染症と類似しています。また総合的に判断することが、マイコプラズマの聴診では一般的な肺炎の場合は雑音が聞こえるところ、マイコプラズマ肺炎の場合は、通常肺雑音に乏しく聞こえないことが多いです。このことが肺炎の存在を気が付かせにくくしています。
発熱や咳の症状で発熱外来を受診しても、はじめはインフルエンザや新型コロナウイルスと症状が類似しており、それらの検査が陰性であると風邪と診断されてしまうケースが多くあります。感染してから発症するまでの潜伏期間は感染初期からマイコプラズマ肺炎と診断することは極めて難しく、症状の悪化や長期化してからの治療となるため、重症化する原因と考えられています。
インフルエンザや新型コロナウイルス検査で陰性の場合でも、下記のような症状がみられる場合はマイコプラズマ肺炎の可能性があります。
マイコプラズマ肺炎の症状の特徴
□ 発熱
□ 倦怠感
□ 頭痛
□ 咽頭痛
□ 乾いた咳(乾性咳嗽)が続く
マイコプラズマ肺炎は冬季に流行しやすいにもかかわらず、春から夏にかけても流行があること、また、マクロライド系抗菌薬が第一選択として使われてきたにもかからわらず、マクロライド耐性菌の増加が国内外で報告されているなど、従来とは異なる状況が見えてきています。
マイコプラズマ肺炎 －検査方法
マイコプラズマ肺炎の検査には、血液検査や胸部レントゲン検査、抗原検査、PCR検査やLAMP法といった遺伝子検査などがあります。これらの検査をうまく組み合わせ、その結果と患者さんの実際の経過や症状から総合的に判断することが、マイコプラズマ肺炎の診断に役立ちます。
最近は、インフルエンザの流行や新型コロナウイルスの流行が取りざたされていますが、マイコプラズマ感染症(特に肺炎)は、昨年から継続して流行しており、現状とどまる気配がありません。単純な風邪だと思って長引く症状を放置すると重症化する可能性があります。
マイコプラズマ肺炎はペニシリン系やセフェム系といったよく使われる抗菌薬や普通の風邪薬では治らないので、「インフルエンザや新型コロナウイルスの検査も陰性だったから、しばらく経てばそのうち治る」と勘違いしてはなりません。長引く風邪や乾いた咳がひどい場合は、放置せず、マイコプラズマ肺炎かもしれないことを念頭に置いて、適切に医療機関を受診するようにしましょう。
マイコプラズマ肺炎 －予防方法
□ 手洗い、うがいを実践する
□ 家族間で食器やタオルなどの共有をしない
□ 栄養バランスの良い食事、質の良い睡眠、適度な運動を心がけ、免疫力を高める
一時的に行うのではなく、日常的にこまめな予防対策として行いましょう！
マイコプラズマ肺炎 マイコプラズマ肺炎は1年を通じてみられるが、今年は例年よりも感染者が増加。集団生活などにおいて、飛沫感染・接触感染で流行。例年患者として報告されるもののうち、約80％は14歳以下。
その 咳 (せき)大丈夫？ いつもと異なる 咳 や長引く 咳 は注意。呼吸器内科などを受診しましょう。 一口に「咳」と言っても、原因はさまざま。乾いている咳か、湿っぽい咳か、咳が出る時間帯や場所などを観察して受診時に伝えると、スムーズに原因を探ることができます。
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