胃の粘膜に長くすみつく細菌
ピロリ菌

胃がんの最大のリスク因子のひとつ
日本人の胃がんの約99%はピロリ菌の感染が原因とされている
1980年代にオーストラリアの研究者によって発見されたピロリ菌。日本では、上下水道などの衛生環境が十分に整っていなかった時代に幼少期を過ごした世代ほど、感染率が高い傾向にあります。

監修・取材協力:いちはしメディカルクリニック
高橋 崇真 院長

Contents

ピロリ菌 -基礎知識

ピロリ菌とは?

ピロリ菌(正式名称:ヘリコバクター・ピロリ)は、胃の粘膜に生息する細菌で、主に幼少期に感染し、大人になってから新たに感染することは比較的少ないといわれています。本来、胃の中は強酸性のため、通常の細菌が生き続けるのは難しい環境ですが、ピロリ菌は特殊な仕組みによって胃酸から身を守り、胃の粘膜にすみつきます。感染すると胃の粘膜に慢性的な炎症が起こり、慢性胃炎や萎縮性胃炎を引き起こすことがあります。さらに、胃潰瘍・十二指腸潰瘍、胃がんの発症とも深く関わっていることが分かっており、ピロリ菌の感染者は、非感染者に比べて胃がんの発生リスクが20倍以上高いとの報告もあります。(参考:日本ヘリコバクター学会Q&A、日本胃癌学会声明)

ピロリ菌 -症状

ピロリ菌に感染した場合の症状

ピロリ菌は、一度感染すると除菌治療をしない限り長期間胃の中に残ることがあります。感染していても自覚症状がほとんどない場合も少なくありません。一方で、慢性的な胃炎を起こすことで、胃もたれや胃の痛み、みぞおちの不快感、食欲低下などを感じることがあります。気になる症状がある方やこれまでピロリ菌について調べたことがない方、特に家族に胃がんの方、過去に胃炎・胃潰瘍を指摘されたことがある方は、一度医療機関に相談してみましょう。

ピロリ菌 -検査方法

胃カメラ検査で感染の有無を確認

日本では、衛生環境の改善に伴って若い世代ほど感染率が低くなっていますが、現在でも感染している方はいます。そのため、一度検査を受けて感染の有無を確認することが大切です。ピロリ菌が確認された場合は除菌治療を行い、除菌治療後も定期的に胃カメラを受けましょう。

年齢別のピロリ菌感染率 (日本人の推計)

胃カメラでピロリ菌はわかる?

胃カメラ(胃内視鏡検査)の画像でピロリ菌の姿そのものを直接見ることはできませんが、感染によって引き起こされる「胃の粘膜の変化」はしっかりと確認できます。胃粘膜の萎縮や赤みなどから感染を疑い、必要に応じて以下の検査を組み合わせて確実な診断を行います。

【主な検査】胃カメラによる粘膜の確認と、適切な検査を組み合わせて診断します。
迅速ウレアーゼ試験:胃カメラで採取した胃の組織を調べる検査
尿素呼気試験:専用の薬を飲み、吐き出した息から感染の有無を調べる検査
便中抗原検査:便を採取してピロリ菌の抗原を調べる検査
組織検査法:胃カメラで採取した胃の組織を顕微鏡で観察し、ピロリ菌を確認する検査
抗体検査:血液や尿を採取し、抗体があるかを調べる検査

ピロリ菌 -治療方法


ピロリ菌の「除菌治療」について

一般的には、胃酸を抑える薬と2種類の抗菌薬、合わせて3種類の薬を服用します。その後、一定期間をあけて、ピロリ菌がいなくなったかを検査します。大切なのは、薬を服用しただけで「除菌できた」と判断せず、除菌できたかを必ず確認しましょう。

ピロリ菌を除菌することで胃がんの発生リスクを低下させることができますが、リスクがゼロになるわけではありません。感染していた期間が長く、胃粘膜の萎縮が進んでいる場合などは、胃がんが発生する可能性は十分にあります。除菌に成功した後も定期的に胃カメラを受けて必ず確認するようにしましょう。

ピロリ菌に感染しているかも・・・まずは何をしたらいいの?

①まずは消化器内科などの医療機関に相談する
②胃カメラなどでピロリ菌の有無を調べるほか、同時に現在の胃の状態を確認することも重要
③ピロリ菌に感染していた場合は除菌治療を行う
④除菌治療に成功した後も、定期的に胃カメラを受ける

☑一度も胃カメラを受けたことのない方、胃痛・胃もたれなどの症状がある方
☑家庭内に胃がんの方がいる方
上記に該当する方は、ご自身の胃の状態を知るきっかけとして、医療機関を受診してみましょう。



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