
発熱・咳や鼻水・目の充血(カタル症状)と全身の発疹が特徴的
感染経路は空気感染、飛沫感染、接触感染で、感染力が非常に強く、免疫がない人は感染すると高い確率で発症します。
監修・取材協力:あわのこどもクリニック
院長 面家 健太郎

麻しん(はしか) -基礎知識
近年の麻しん(はしか)の流行状況について
麻しん(はしか)は、麻しんウイルスによって引き起こされる感染症です。日本は2015年にWHOから「麻しん排除状態」と認定されていますが、近年は海外での流行を背景に“輸入例(持ち込み)”が増え、国内で二次・三次感染も起こりうる状況です。
2025年は、国立健康危機管理研究機構(JIHS)の報告で、第1~19週(2024/12/30~2025/5/11)に119例が届出され、同時期の2024年(21例)より増加。年齢中央値は24歳で、20代が最多、次いで30代・40代と続き、0歳(定期接種前)も一定数報告されています。世界的にも麻しん(はしか)の再増加が課題として繰り返し指摘されています。岐阜県および隣県である愛知県でも患者さんは存在しており、決して他人事ではありません。
※上記国立健康危機管理研究機構感染症情報提供サイトより一部参照
麻しん(はしか) -症状
潜伏期から回復期までのそれぞれの特徴について
麻しん(はしか)は、潜伏期(通常10~12日)を経て、38℃の前後の発熱、咳、鼻汁、くしゃみ、結膜充血、目やになど風邪のような症状がみられます。コプリック斑(口の中の白い斑点)が見られることがあり、コプリック斑以外は普通の風邪(上気道炎)との区別がつきにくいといわれています。伝染力が強い時期でもあるので注意が必要です。このような症状が2~3日続いた後、いったん下がりかけた熱が39~40℃の高熱として再上昇(二峰性発熱)し、特徴的な発疹が現れます。発疹は耳の後ろ~顔→体幹→手足へ広がります。その後解熱し発疹は消退しますが、色素沈着が残ることがあります。
麻しん(はしか)に感染した場合の典型例の経過をみてみよう
麻しん(はしか)の感染力は発疹が出る前からあります。発疹の前後が特に要注意です。
◆潜伏期(通常10~12日)
ほぼ症状はなし
◆カタル期(2~4日)
38℃前後の発熱、咳、鼻汁、くしゃみ、結膜充血、目やになど「風邪のような症状」が現れる。コプリック斑(口の中に白い斑点)が見られることがあり、コプリック斑以外は普通の風邪(上気道炎)との区別がつきにくい。
◆発疹期(3~4日)
いったん下がりかけた熱が39~40℃の高熱として再上昇し、特徴的な発疹が出現する。発疹は耳の後ろ~顔→体軒→手足へと広がる。
◆回復期(7~9日)
解熱して発疹は消退する。色素沈着が残る場合がある。
麻しん(はしか) -医療機関の受診方法
麻しん(はしか)が疑われる場合の医療機関の受診方法をチェック
麻しん(はしか)は非常に感染力が強いため、いきなり待合室に入るのは避けるのが原則です。医療機関の指示に従って、正しい方法で受診しましょう。
- まず電話で医療機関に連絡をする(症状・経過・接触歴・渡航歴を伝える)
- 指示があれば、時間や動線(別室・車内待機など)を調整して受診する
- 受診時は可能ならマスクを着用し、公共交通機関の利用は医療機関に指示に従う
特集名 -治療方法
麻しん(はしか)の治療は「対症療法」
麻しん(はしか)は特別な治療はなく、対症療法(症状の緩和、苦痛の軽減など)で症状を回復へと導きます。しかし免疫力が極端に低下するため、肺炎や中耳炎などの重篤な合併症を引き起こしやすく、これらが原因で死に至るケースもあります。また、頻度は低いですが0.1~0.2%程度に脳炎・脳症を合併します。そうすると致死率も約15%と高く、回復しても後遺症を残すことがあります。先進国であっても、1,000人に1人程度の死亡率といわれています(厚労省HPより)。
麻しん(はしか) -予防方法
予防の中心は麻しん含有ワクチン(日本では主に麻疹風疹ワクチン(MRワクチン))。手洗いやマスクだけでは防ぎきれない点が重要です。接触後の予防として、患者に接触した場合、72時間以内のワクチン接種で発症予防が期待できます。状況によって免疫グロブリンが検討されます。
| 定期接種 | 1歳と就学前2回接種する。 |
| 追加接種を検討したい人(成人を含む) | 麻しん(はしか)に感染したことがなく、2回接種が確認できない人。海外渡航予定がある人。医療・教育・保育など、乳幼児や多数と接する人。 |

数年後に発症するSSPE(亜急性硬化性全脳炎)について
麻しん(はしか)に罹患したあと数年〜10年前後経過して発症します。麻しんウイルスの中枢神経への持続感染によるものです。麻しん罹患患者のうち10万人に数例程度と頻度は低いものの、きわめて予後不良であり、麻しん(はしか)を軽い病気と考えない方が良い理由の一つでもあります。低年齢(特に2歳未満)で麻しんに罹患した場合にリスクが高いとされており、学力や集中力の低下、性格の変化などの軽微な症状で発症し、数ヶ月から数年の経過で進行します。けいれんなどの症状を経て、やがて寝たきり、昏睡状態となり致死的な経過をとります。
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