
花粉にさらされた量、体質や食生活の違いなど、花粉症の出方には個人差があります
花粉にはそれぞれ、飛ぶ時期や起こりやすい症状に少し違いがあります。早めの治療、対策が症状を和らげることに繋がります。
監修・取材協力:東海内科・内視鏡クリニック岐阜各務原院
神谷 友康 先生

春の花粉症 - 基礎知識
花粉症とは
花粉症とは、体に入ってきた花粉を「異物(体にとってよそもの)」だと体が判断して起こす反応をいいます。これは体を守るための仕組みで、免疫反応と呼ばれます。花粉が体の中に入ってくると、「これは外から来たものだ」と見分けて、花粉に反応する“目印”(抗体)を作ります。そして、次に同じ花粉が入ってきたときにすぐに追い出そうをして反応が強く起こります。
本来免疫反応は、病気から体を守ってくれる良い役割を果たしますが、花粉のように本当は危険ではないものにまで反応が強く出すぎると、体にとって困った状態になります。これが「アレルギー」であり、花粉症では花粉を追い出そうとして、くしゃみ・鼻水・涙が出ます。ただ、この反応が必要以上に強く起きるため、症状が辛くなり、睡眠や集中力の低下、仕事や勉強がはかどらないなど、生活の質に影響が出てしまいます。

春の花粉症 - 花粉症と他の感染症の見分け方
花粉症と他の感染症では、現れる症状に違いがある
花粉症を疑う症状としては、鼻水が水のようにサラサラ、くしゃみが連発して出る、目や鼻がかゆい、季節性があるなどが挙げられます。とくに、目や鼻のかゆみは他の感染症では現れにくく、毎年同じ時期に症状が出たり、晴れていて風が強い日に悪化する場合も花粉症の可能性が高いといえます。
風邪や感染症を疑う症状としては、鼻水が粘っこい(黄色~緑っぽい)、のどの痛みや発熱、悪寒、筋肉痛などの全身の症状が現れる、周囲でも感染が流行しているなどが挙げられます。症状が出始めてからすぐは、完全に見極めるのは難しいですが、「かゆみ」と「発熱・全身症状」が大きな手がかりになります。1週間を超えても鼻水やかゆみなどの症状がある場合は、花粉症を発症したと考えるといいでしょう。
春の花粉症 - 症状が深刻化する人とそうでない人の差
花粉症の出方には個人差がありますが、主に次の差が考えられます。
①花粉にさらされた量の違い(=どれだけ浴びたか・持ち込んだか)
花粉症は、花粉が体に入るたびに免疫が反応し、少しずつ「花粉に反応しやすい準備」が進むことで起こりやすくなると考えられています。そのため、花粉に触れる量が多いほど発症しやすく、症状も強く出やすい傾向があります。花粉が多い時間帯に外出が多かったり、換気のタイミングや掃除の頻度など、同い年でも「その人が浴びた花粉量」で体感が変わるのは、こうした理由が大きいでしょう。
②体質の違い(=アレルギーになりやすい体質かどうか)
花粉症のなりやすさには、生まれつきの体質(遺伝的な要素)も関係すると考えられています。例えば、近い家族に食物アレルギーやハウスダスト、動物の毛、喘息、アトピー性皮膚炎などのアレルギーを持つ人がいる場合は、体質としてアレルギー反応が出やすい可能性があります。花粉に対しても反応が起きやすく、症状が複雑になったり強く出たりすることがあります。
③食生活の違い
花粉症が増えた背景の一つとして、食生活の変化(いわゆる欧米化)が関係するのでは、と言われることがあります。「これを食べると花粉症になりやすい/これを食べれば予防できる」と医学的に断定できるものは現時点でははっきりしていないため、「特定の食品で治す」よりも、睡眠や生活リズムを整えて、体の負担を減らすことの方が、症状の感じ方には影響しやすいです。
春の花粉症 - 市販薬と処方薬について
市販薬(OTC)と処方薬(医療用)は、単純に「処方薬の方が強い」「市販薬は弱い」とは言い切れません。市販薬と処方薬で同等の効果を持つ薬もあります。しかし、市販されている薬は花粉症薬の中のほんの一部であり、市販薬で十分な効果が得られない場合や、いろいろな種類の薬を組み合わせ使う必要がある場合などは医師の診察を受けて処方をうけることがよいでしょう。
市販薬の主な花粉症薬は、抗ヒスタミン薬です。例えばアレグラⓇなどは市販されており、処方薬と大きな差はないと感じます。しかし抗アレルギー薬には抗ヒスタミン薬だけではなく、ロイコトリエン拮抗薬や重症なアレルギーの場合はステロイド製剤などを使用します。そのような薬剤が必要な場合は医師の診察を受け、処方を受ける必要があります。
また、抗ヒスタミン薬もいろいろな種類があり、すべての抗ヒスタミン薬が市販されている訳ではありません。市販の抗ヒスタミン薬で効果が無い場合は、同じ抗ヒスタミン薬でも種類を変えて投薬することがあり、そのような場合は医師の診察を受けて処方を受ける必要があります。
春の花粉症 - 黄砂・PM2.5が花粉症に関係するポイント
粘膜を刺激して、症状を強めやすい
黄砂やPM2.5はとても小さな粒で、これらが目や鼻、喉に触れると、粘膜が刺激されて「鼻がムズムズする、鼻づまりが強くなる」「目がしみる、かゆい、涙が出る」「喉がイガイガする、咳が増える」といった反応が出やすくなります。花粉に反応しているところに刺激が加わるため、花粉症の症状が増悪するように感じることがあります。
「花粉が少なそうな日」でもつらいことがある
「今日は花粉が少ないはずなのに、なんだかつらい…」という日は、黄砂・PM2.5の影響が混ざっていることが考えられますし、花粉+黄砂+PM2.5が重なる日は、いつもより症状が強く出やすいです。
アレルギー体質や喘息がある人は、影響を受けやすいことも
「もともと花粉症が重い」「喘息がある/ゼーゼーしやすい」「喉の症状(咳)が出やすい」という方は、黄砂やPM2.5が飛んでいる日に「鼻だけでなく喉や咳も辛い」と感じやすいことがあります。
春の花粉症 - 今すぐはじめるセルフケア
マスクや眼鏡を着用する以外のセルフケアで効果的なのが、①花粉を家に持ち込まないこと ②花粉から曝露を減らすこと です。誰でも簡単にセルフケアができるので、毎日徹底することが大切です。
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