アルコールを飲まないのに脂肪肝になる人が増加しています
脂肪肝

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脂肪肝 が進行すると肝機能低下へ。糖尿病悪化の原因にもなります
肝機能異常のうち、お酒を飲まない非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)は国民最大の病気になると考えられています。中には、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)の人もいて、肝硬変や肝がんへの進行が心配されています。

監修・取材協力:岐阜大学医学部附属病院 副病院長
消化器内科教授 肝疾患診療支援センター長 清水 雅仁先生

Contents

脂肪肝 -基礎知識

肝臓だけでなくほかの病気との関連性も

脂肪肝とは肝臓に中性脂肪がたまっている状態です。超音波で画像診断をすると、通常は黒く映る肝臓が、白くギラギラした状態で見えます。
アルコールの飲み過ぎで起きるアルコール性脂肪肝のほか、肥満や糖尿病などが原因となり、お酒を飲まなくても脂肪肝になる非アルコール性脂肪性肝疾患NAFLD(ナッフルディー、ナッフルド)があります。

また、NAFLDの中でも、脂肪肝が悪化して肝硬変や肝がんに進行する非アルコール性脂肪肝炎NASH(ナッシュ)が増えています。

脂肪肝は肥満や動脈硬化などと関連するため、注意が必要です。特に、NAFLDやNASHの患者さんは虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)や脳卒中、さらにはがんのリスクが高いと言われています。そのため、脂肪肝と診断された人は精密検査でNASHかどうかを調べる必要があります。

脂肪肝 -糖尿病患者は要注意

肝臓の機能低下により糖尿病が悪化

肝臓の機能が低下すると、糖尿病も悪化することが分かっています。40~50年前は、糖尿病患者さんの死亡原因は脳卒中、虚血性心疾患、慢性腎不全が4割を占めていました。現在は、がんで亡くなる方が4割。

糖尿病の人は肝がんのリスクが2倍となり、膵がんや大腸がんもリスクも高まります。

脂肪肝 -近年の動向

2030年には、NAFLDは国民最大の病気になると考えられています。患者さんの数は2000万人をはるかに越え、繊維化の進んだハイリスクの患者さんも100万人を越えることが予想されています。これを「NAFLDの2030年問題」といいます。

脂肪肝 -知っておきたい 脂肪肝 の病名

アルコール性脂肪肝

アルコールの過剰摂取が原因の脂肪肝です。


非アルコール性脂肪性肝疾患 NAFLD(ナッフルディー、ナッフルド)

脂質や糖質の過剰摂取や、運動不足などでエネルギーが消費されないなど、摂取エネルギーと消費エネルギーのバランスが崩れたことにより起こります。具体的には、肥満、糖尿病、脂質異常症、高血圧などが原因になります。
ほとんどは肝機能が悪化しない単純性脂肪肝ですが、中にはNASHの人もいるため、肝硬変や肝がんへの進行が心配されています。
治療は生活習慣の改善や減量などで対処しますが、お薬を用いることもあります。


非アルコール性脂肪肝炎 NASH(ナッシュ)

NAFLDの中でも、脂肪肝が悪化して肝臓に炎症を起こし、肝硬変や肝がんに進行する病気です。心臓疾患、脳疾患のリスクにも注意が必要な病気です。NASHを疑う場合は、詳細な血液検査や画像検査を行い、肝臓の炎症や線維化(硬さ)を調べます。必要に応じて、肝臓に針を刺し組織を採取して調べる肝生検を行います。

脂肪肝 - 脂肪肝 の症状

栄養の代謝・貯蔵、解毒作用、胆汁の生成・分泌をしている肝臓は働き続けています。しかし沈黙の臓器と言われる「肝臓」。病気になっても症状が出ないため、注意が必要です。脂肪肝もほとんどが無症状で、気がつきにくい病気です。健診時の肝臓に関する数値(ALT、AST、γ-GTPなど)に注目して、脂肪肝の進行を防ぎましょう。

脂肪肝 -今すぐはじめる予防と対策

■生活習慣を見直しましょう。
■アルコールが原因の場合は禁酒・節酒。
■肥満が原因の場合は適正体重を維持する。
■食生活の改善、適度な運動を行う。

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