免疫機能が下がると、ウイルスが再活性化して発症
水ぼうそうになったことがある人は誰もが発症する可能性がある帯状疱疹。中高年に多くみられる皮膚疾患ですが、ストレスや体調不良など免疫機能の低下が引き金となるため、近年では20~40代でも増加傾向にあります。
監修・取材協力:ぎなん皮フ科クリニック
伊藤 秀明 院長
帯状疱疹 -基礎知識
帯状疱疹は、体の左右どちらか一方に、ピリピリと刺すような痛みや、赤い斑点、水ぶくれが帯状にあらわれる皮膚の病気。80歳までに約3人に1人が発症すると言われ、特に50歳以上の中高年に多く見られます。重症化すると「帯状疱疹後神経痛」という合併症を引き起こす場合があります。
帯状疱疹 -近年の動向
近年では20~40代でも増加傾向にあります。要因の一つは、ストレスや疲れなどによって免疫機能が落ちやすくなっていること。また、ブースター効果の機会減少も考えられます。ブースター効果とは、日常的にウイルスに触れることでウイルスに対する免疫が活性化されることを言いますが、2014年から始まった水ぼうそうワクチンの接種で、大人が水ぼうそうの子どもに触れる機会が減り、ブースター効果が得にくくなっているのです。コロナ禍のマスク生活で人との関わりが希薄になっていることも、ブースター効果を得にくくなっている要因の一つです。
帯状疱疹 -原因
帯状疱疹の原因は身体の中に潜むヘルペスウイルスの一種、水痘・帯状疱疹ウイルス。はじめてこのウイルスに感染すると、水ぼうそうとして発症します。水ぼうそうが治った後もウイルスは体内に潜んでいます。その後、加齢やストレス、季節の変わり目の体調不良などが引き金となって免疫機能が低下すると、再び活性化し、帯状疱疹として発症。水ぼうそうにかかった人は誰もが発症する可能性があります。
水ぼうそうは空気感染で人にうつりますが、帯状疱疹はうつりません。水ぼうそうにかかったことのない子どもと接触すると、水ぼうそうを発症させる場合があります。
帯状疱疹 -出やすい症状
症状の経過
①身体の左右どちらか一方に、皮膚の違和感やピリピリする痛みが起こる。
②数日~1週間ほどして、患部が赤くなる。身体の片側の神経に沿って帯状にやや盛り上がった赤い斑点が見られ、軽度の発熱やリンパ腫の腫れなどが見られることも。
③赤い斑点上に水ぶくれがあらわれ、水ぶくれが破れてただれた状態となる。
④2~3週間でかさぶたとなり、約1ヶ月でかさぶたが取れて治る。
身体の左右どちらか一方の神経に沿って帯状にあらわれるのが特徴です。特に上半身で見られ、通常は1ヶ月ほどで皮膚の症状とともに痛みも治まります。痛みが続く場合は「帯状疱疹後神経痛」が考えられます。症状を軽くし、合併症のリスクを減らすには早期発見・早期治療が有効となるため、皮膚に違和感やピリピリとした痛みがあったら医療機関を受診しましょう。
帯状疱疹 -治療方法
治療は抗ヘルペスウイルス薬を中心に行います。通常は1ヶ月ほどで皮膚症状が治まると痛みも消えます。
帯状疱疹 -合併症
数%の割合で、痛みが何カ月・何年も続く「帯状疱疹後神経痛」や、目や耳などの感覚器官に合併症を引き起こすことがあります。
今すぐはじめる予防・対策
50歳以上の方は、予防接種も選択肢の一つ
発症率を低減させ、重症化を予防するために、予防接種も選択肢の一つです。対象は50歳以上の方。帯状疱疹のワクチンには2種類(生ワクチン、不活化ワクチン)あります。接種できない人や、注意を必要とする人もいるため、医師に相談しましょう。
帯状疱疹の予防 3人に1人がかかる身近な皮膚病「 帯状疱疹 」に予防効果が高い新しいワクチンが登場!免疫力が低下した時に発症しやすい帯状疱疹は、働き盛りの50歳頃から急増する病気です。高齢で発症すると帯状疱疹後神経痛になることも多いため、早めに予防しておきたいもの。