感染者の多くは就学前の子どもで保育園や幼稚園などで流行
子どもの三大夏風邪のひとつ「 ヘルパンギーナ 」。突然の高熱や口の中に小さな水疱(口内炎)ができるのが特徴です。4、5歳くらいまでの子どもに感染が多くみられる傾向があります。
監修・取材協力:あわのこどもクリニック
面家 健太郎 先生
ヘルパンギーナ -基礎知識
感染者の多くは就学前の子どもたち。飛沫感染・糞口感染が主な感染経路
ヘルパンギーナは毎年5月頃から流行し始め、6~7月頃に流行のピークを迎えます。4、5歳くらいまでの子どもを中心に感染が流行する、ウイルス性の感染症です。夏風邪の一種としてもよく知られています。ヘルパンギーナは、エンテロウイルスというグループに属するウイルス(コクサッキーウイルス)によって引き起こされます。
感染が流行する原因としては、ヘルパンギーナに感染している人の咳やくしゃみから飛沫感染したり、ウイルスが付着した状態の手で口や目に触れたりすることが挙げられます。また、便などの排泄物からもウイルスが排出されるため注意が必要です。
保育園や幼稚園などで一気に流行しやすく、感染力が強いのが特徴です。子どもはもちろん、大人も含め身近な環境の流行状況を把握しておくことが大切です。
ヘルパンギーナ -出やすい症状
突然39~40℃の高熱、のどの痛み、口の中にできる水疱に注意!
ヘルパンギーナの潜伏期間は約2~4日が一般的です。突然の発熱に続いて、上顎の奥のほうの粘膜に赤い小さな水疱ができます。水疱が潰れて潰瘍(口内炎みたいなもの)ができると、唾も飲み込めないほどの強いのどの痛みを感じます。4日前後発熱が続くことがあり、基本的には1週間程度で回復します。
ヘルパンギーナ の傾向
ヘルパンギーナ -セルフチェックの方法
身近に感染者がいないか、流行状況を把握することも大切
ヘルパンギーナは、突然の発熱やのどの痛みが先行する場合が多く、多くの人はその症状が出たタイミングで病院を受診します。ヘルパンギーナかも?と心当たりのある人は、セルフチェックで確認してみましょう。
□ 突然39℃~40℃の高熱が出た
□ のどの粘膜が赤くなっている
□ 口内に小さな水疱(口内炎)ができている
□ 唾が呑み込めない程、のどが痛くなる
□ 保育園や幼稚園、学校などに身近にヘルパンギーナに感染している人がいる
ヘルパンギーナ -治療方法
残念ながらヘルパンギーナには、ワクチンや薬などの特別な予防や治療法はありません。解熱剤などの対症療法がメインですが、自分自身で感染しないように心がけることはできます。呼吸器経路の感染力は約1週間と言われていますが、糞便への排泄は2~3週間あります。
感染者との接触をさけるのはもちろん、こまめな手洗いうがい、オムツ交換や排泄物の処理は使い捨て手袋を使用する、タオルや食器の共有を避けるなど、日常生活において気をつけた方が良いことはたくさんあります。免疫力を高めるためにもバランスの良い食事を心がけ、日頃から規則正しい生活しましょう。
ヘルパンギーナ -今すぐはじめる予防と対策
症状が出ているときはもちろんですが、症状が治まったからといって油断してはいけません。症状がなくなってからも、しばらくは感染予防対策を徹底しましょう。
今すぐはじめよう!
ヘルパンギーナ に感染しないために気をつけること
症状が出ているときはもちろんですが、症状が治まったからといって感染しないわけではありません。症状がなくなってからも感染予防対策を徹底して行いましょう。
- 手洗いうがいをこまめにする
- 感染者との接触を避ける
- 症状がなくても排泄物などには直接触れず、適正な処理をする
- タオルや食器の共有はしない
- 消毒を徹底する
夏の感染症 「夏風邪」「食中毒」「皮膚炎」夏は感染症によるトラブルが多くなる季節です。令和5年の夏、子どもの夏風邪の一つ「ヘルパンギーナ」が流行しています。旅行や帰省などで各地を移動したり、人とコミュニケーションが多くなりますが、熱中症と共に、 夏の感染症 の予防対策もしっかり行いましょう。
手足口病 -てあしくちびょう- 手足口病 は主に夏に流行する感染症で、3〜6日の潜伏期の後、手足などに赤い発疹や水ぶくれ、口内炎ができます。高熱が出ることは少なく、1週間ほどで自然に治ります。毎年、5月頃から患者数が増え、7月に流行のピークを迎えます。全身状態が改善すれば、登園・登校が可能になります。