発熱やのどの痛み、発疹などの症状が出る感染症
溶連菌感染症

飛沫により主にのどに感染し、4~8歳頃の子どもが最も多く感染
感染力が強い「溶連菌感染症」。何度も感染する可能性があるため、家庭内感染などに注意が必要。

監修・取材協力:
若園医院 院長 若園 明裕先生

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溶連菌感染症 -基礎知識・出やすい症状

発熱やのどの痛み、発疹、イチゴ舌などの症状が出る

細菌であるA群β溶連菌が、主にのどに感染して発症する溶連菌感染症。溶連菌とは溶血性連鎖球菌の略のことをいいます。溶連菌感染症に感染すると、上気道炎症状のあとに発熱やのどの痛み、嘔吐、体に細かい発疹がみられるようになります。発疹は主に首や脇の下、脇腹などに目立ちます。発症から3日目には舌がイチゴのように赤く、ブツブツになる「イチゴ舌」が出現し、1週間後には皮膚の落宵がみられるようになります。

イチゴ舌(画像提供:若園医院)
発疹の様子(画像提供:若園医院)

溶連菌感染症 -検査方法

溶連菌感染症の検査は、扁桃腺からの分泌物で診断をします。のどに綿棒のようなものを入れ、迅速検査の場合は15分ほどで結果が出て、菌の有無を判定します。咽頭培養検査の場合は、結果が出るまでに4~5日程度かかり、他の金がいるか又は抗生剤の効き具合をみます。

検査方法

扁桃腺からの分泌物で診断をし、のどに綿棒のようなものを入れて検査をします。
【迅速検査】15分で結果が出て、菌の有無を判定します。
【咽頭培養検査】他の菌がいるか又は抗生剤の効き具合をみる検査です。結果が出るまでに4~5日程度かかります。

合併症

菌体の成分や、感染による免疫反応が複雑に関係して引き起こされる合併症
❶化膿性合併症(溶連菌自体による病気) → 中耳炎、肺炎、骨髄炎、敗血症
❷非化膿性合併症(溶連菌自体が直接悪さをするのではなく、感染した人の免疫を介しての病気)→急性糸球体腎炎(感染後2~3週間後におしっこの量が減り、血尿で尿の色が茶色になり、顔が浮腫む、高血圧による頭痛)、リウマチ熱(心臓弁膜や血管、神経に障害を起こす)
このような症状の発症を防ぐためにも、医師の処方どおりに最後まで飲ませることが大切です。

溶連菌感染症 -治療方法

溶連菌感染症の治療には、抗菌薬を内服します。抗生剤の無い時代は腎炎やリウマチ熱、心臓弁膜症などの合併症を伴うことがありました。しかし、現在は抗菌剤が良く効く場合がほとんどなので、重篤化する可能性は低いと言われています。確実に溶連菌を退治し、合併症を引き起こさないためにも、医師の指示に従って抗生剤を飲み続けることが大切です。

溶連菌感染症 -今すぐはじめる予防と対策

溶連菌感染症は飛沫感染で感染し、感染力が強いので繰り返し何度も感染することがあります。身近な人で1人でも感染したら、一緒に遊ぶ兄弟姉妹や友人への感染にも注意が必要です。感染者との接触は避け、日常生活でできる基本的な予防方法を徹底して行いましょう。

溶連菌感染症 -劇的型

「劇的型溶連菌感染症(人喰いバクテリア)」という名前を、ニュースなどで耳にする人も多いのではないでしょうか。溶連菌の中には劇的型と呼ばれるものがあり、日本では1992年にはじめて報告され、これまでに100人以上の患者が報告されています。

劇的型溶連菌感染症の怖いところは、元気な人に突然発症し、約30%の人が死亡するというところです。発熱や手足の痛みからはじまり、菌が全身に広がります。発症してから多臓器不全に至るまでの経過が急激に進行していきます。30~70歳くらいの大人の発症が多いとされていますが、小児にもみられる感染症です。健康な人が突然死に至る恐ろしい病気です。

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