血液の中の糖分(血糖値)が高い状態が続いてしまう病気
糖尿病(ダイアべティス)

初期は自覚症状が少ないため気づきにくい一方で、進行するとさまざまな合併症を引き起こす可能性があります。早期発見と生活習慣の見直しが重要です。
食生活や運動不足など発症や進行には個人差があり規則正しい生活が重要です

監修・取材協力:ぎふ糖尿病・内科クリニックやまうち
山内 雅裕 院長

Contents

糖尿病 -基礎知識

糖尿病とはどのような病気か

糖尿病とは、血液中の糖分(血糖)が慢性的に高い状態が続いてしまう病気をいいます。本来、食事で摂取した糖は「インスリン」というホルモンの働きによって体の細胞に取り込まれ、エネルギーとして利用されます。しかし糖尿病では、このインスリンの働きが弱くなる(インスリン抵抗性)場合や、分泌量が不足する(分泌低下)ことにより、糖が血液中に過剰に蓄積してしまいます。この状態が長く続くことで、血管や神経をはじめ、全身にさまざまな影響を及ぼすようになります。

厚生労働省が2025年12月に発表した最新の統計によると、日本で糖尿病が強く疑われる方が約1,100万人、糖尿病の可能性を否定できない方(予備軍)を含めると約1,800万人いるといわれています。成人の約6人に1人前後が関係している身近な病気であり、決して油断はできません。

糖尿病 -糖尿病の種類について

糖尿病は大きく分けて「1型糖尿病」と「2型糖尿病」の2つのタイプがある

1型糖尿病
・子どもや若い人に多い
・生活習慣とは関係なく、急に発症することが多い
・インスリン注射が必要
1型糖尿病は、免疫の異常などにより、インスリンを作る膵臓にあるベータ細胞が壊れてしまう病気です。インスリンが作れないため、インスリン注射よる補充が必須になります。食事や運動の管理も大切です。

2型糖尿病
・体質(遺伝)
・食事の内容や量
・運動不足
・肥満
・ストレスや睡眠不足
2型糖尿病は、インスリンが「出にくくなる」または「効きにくくなる」ことで、血糖値が高い状態が続く病気です。日本人の糖尿病の9割がこのタイプといわれています。

糖尿病 -合併症・早期発見の重要性

三大合併症早期発見の重要性について

血糖が高い状態が続くと、血管が少しずつ傷つき、さまざまな合併症を引き起こします。糖尿病特有の合併症として「網膜症(悪化すると失明の原因)」「腎症(悪化すると透析の原因)」「神経障害(手足のしびれや感覚低下)」の3つが三大合併症として挙げられます。さらに、心筋梗塞や狭心症、脳梗塞、足壊疽、歯周病などの病気のリスクも高まります。糖尿病は、初期症状がほとんどない「気づきにくい病気」です。すでに合併症が進行してしまっていても、適切な管理をすれば進行を防ぐこともできるので、健康診断で異常がみられた場合は「様子を見る」ではなく、早めに医療機関を受診しましょう。

糖尿病 -検査・治療方法

検査方法
血糖値検査・・・血液中のブドウ糖の量を測定。
HbA1c(ヘモグロビンA1c)・・・過去1~2か月の平均的な血糖状態がわかる検査。
詳しい検査が必要な場合には、経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)という検査が行われます。これらの検査を健康診断でも確認できます。

治療方法 糖尿病の治療の基本は、以下の3つとされています。
①食事療法
食事の量や内容に気をつけたり、ご飯やパンなどの炭水化物を食事の最後の方に食べる、ゆっくりよく噛んで時間をかけて食べることが大切です。

②運動療法
日常生活の中での簡単な運動(階段を利用する、通勤を自転車に変えてみるなど)など、できることから無理のない範囲で取り組んでみてください。

③薬物療法
飲み薬やインスリン注射、GLP-1受容体作動薬(週1回の注射薬)などの選択肢が増えており、患者さんの状態に合わせた治療を選択します。

糖尿病 -よくある誤解や偏見

糖尿病について、世間では誤解や偏ったイメージがまだ多くあり、それがきっかけで糖尿病に苦しむ人が周囲に症状を打ち明けられなくなったり、不安を感じたりする場合があります。糖尿病は特別な人だけの病気ではなく、誰にとっても身近なもの。正しく理解し、お互いに支え合うことが大切です。

●「甘いものを食べる人だけがなる病気」
糖尿病は、甘いものだけが原因で起こる病気ではありません。ご飯やパン、麺などの炭水化物も体内では糖に変わり、血糖値に影響します。「特定の食品」というより、食事全体のバランスが大切です。

●「太っている人だけがなる病気」
体重が増えることはリスクの一つですが、日本人はもともとインスリンの働きが弱くなりやすい体質といわれており、体型に関わらず糖尿病になる可能性があります。

●「インスリン注射は最後の手段」
注射はできれば避けたい、大変そうと思われがちですが、体の負担を軽くし、血糖管理を助けてくれる大切な選択肢です。

●「数値が良くなったら薬をやめてよい」
血糖値が安定してきたときこそ、今の治療がうまくいっている状態です。自己判断で薬を中断せず、医師と相談しながら進めていきましょう。


糖尿病は「怖い病気」というイメージを持たれがちですが、正しく向き合えばコントロールできます。少しずつ生活を整えることで、将来の大きな病気を防ぐことができます。この機会に、「まだ大丈夫」と思っている方こそ、一度ご自身の血糖値に目を向けてみてください。


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