寒い冬、乾燥が気になる季節に増加する傾向があるインフルエンザ
毎年、集団生活などで一気に感染が広がる恐れがあります。
監修・取材協力:髙橋産婦人科内科
伊在井 みどり
インフルエンザ -基礎知識
「飛沫感染」「接触感染」にて感染が拡大していくインフルエンザ
インフルエンザとは、インフルエンザウイルスを病態とする気道感染症のことをいい、鼻やのどなど、上気道の粘膜に付着して感染します。インフルエンザが冬に流行するのは、空気が乾燥することや人の免疫力も低下しているから。インフルエンザの感染経路は、咳やくしゃみなどの飛沫を吸い込んで感染する「飛沫感染」、感染者が触ったものや場所を触り、その手で自分の鼻や口を触ることにより感染する「接触感染」で、次々と感染が拡大していきます。
インフルエンザ -症状
インフルエンザに感染すると、38度以上の高熱が出たり、節々の痛みや筋肉痛、倦怠感、頭痛、腹痛、吐き気、下痢などの症状が現れます。潜伏期間は1~3日程度といわれています。通常の風邪の場合はジワジワと熱が高くなりますが、インフルエンザの場合は急に38度を超える高熱が出るのが特徴です。また、筋肉痛や倦怠感は風邪の場合よりも顕著に症状が現れたり、鼻水などの症状は高熱が治まったあとにみられるなど、通常の風邪とインフルエンザでは異なる点が複数みられます。
インフルエンザ -医療機関での検査方法
インフルエンザの検査法は、細い綿棒のようなものでのどの奥から鼻の奥をこすり、付着したものを専用のキットで検査します。精度はA型が65%、B型が52%といわれており、陽性の場合はインフルエンザに感染しているということです。専用キットでの検査で陰性が出ても、実は感染していたということがあるため、検査+医師が症状や地域の流行状況などを総合して判断されます。
インフルエンザ -医療機関での治療方法
インフルエンザの治療には、抗インフルエンザウイルス薬を使う場合と、辛い症状を和らげるための薬を使う場合があります。抗インフルエンザウイルスには飲み薬「タミフル(カプセル、ドライシロップ)」「ゾフルーザ(錠剤)」と、吸入薬「リレンザ、イナビル」、点滴「ラピアクタ(口から薬を飲めないとき)」の3種類があります。
抗インフルエンザウイルスは48時間以内に服用すると症状の悪化を防ぐことができ、症状が出てから12時間以降に検査を受けると結果が得られやすいといわれています。そのため、いつ病院を受診したらよいか迷われる場合は、症状が出てから12~48時間の間に受診をすることがおすすめです。
インフルエンザ -予防方法・療養時の注意点
インフルエンザを予防するためには、①正しい手洗いとマスクの着用②流行前のワクチン接種③環境整備(湿度を50~60%に保つ、換気をする)④十分な休養、バランスの取れた栄養摂取 が大切です。
インフルエンザ -学校・職場へ行くタイミング
学校保健法では発症後5日を経過し、かつ解熱してから2日(幼児は3日)を経過するまでは登校してはいけません。職場の場合は特に決まりはありませんが、症状が出た日の翌日から7日目までは不要な外出は避けるようにしましょう。
インフルエンザ -ワクチンについて
インフルエンザ罹患率や死亡率を低下させるために、日本ワクチン学会は生後6か月以上の全ての人に対するワクチン接種を推奨しています。ワクチンを接種することで、発症予防や重症化予防、入院、死亡リスクを減らすことに繋がっています。インフルエンザが流行しはじめる1か月程度前の11月頃には接種をすることが望ましく、効果は約5か月有効といわれています。