高non-HDLコレステロール血症 は、non-HDLコレステロール値が170mg/dl以上で、血液中に動脈硬化を促進する悪玉コレステロールが多い状態。特に中性脂肪が多い人、肥満気味の人、糖尿病を患っている人はnon-HDLコレステロール値も高くなる傾向にあります。
監修・取材協力:医療法人大河内会おおこうち内科クリニック
大河内 昌弘 院長
この記事をまとめると
- non-HDLコレステロール値が170mg/dl以上
- 近年、新しい基準として重要視されるようになった
- まずは食事療法、運動療法で治療が進められる
高non-HDLコレステロール血症 −基礎知識
血液中には、LDLコレステロールやHDLコレステロール以外にもさまざまな種類のコレステロールがありますが、HDLコレステロール以外はいずれも動脈硬化のリスクを高めてしまいます。non-HDLコレステロールは、総コレステロールからHDLコレステロールを除いた値。LDLコレステロールは基準値内であっても、このnon-HDLコレステロールが高くなる場合もあり、近年は脂質異常症の基準として重要視されています。
高non-HDLコレステロール血症は、non-HDLコレステロール値が170mg/dl以上で、血液中に動脈硬化を促進する悪玉コレステロールが多い状態。特に中性脂肪が多い人、肥満気味の人、糖尿病を患っている人はnon-HDLコレステロール値も高くなる傾向にあります。
症状
自覚症状がないため、健康診断で指摘されて認識する人がほとんどです。
検査方法
一般的な健康診断で行われる血液検査で調べます。non-HDLコレステロールは、空腹時かどうかに左右されずに測定できます。総コレステロールからHDL(善玉)コレステロールを除いたnon-HDLコレステロールが170mg/dl以上の場合は、高non-HDLコレステロール血症の疑いがあります。
原因
生活習慣病の一つに挙げられるように、生活習慣が原因となる場合がほとんどです。特に食生活の影響は大きく、カロリーの高い食事、レバーやバターなど脂分(動物性脂肪)の多い食事、卵や魚卵などコレステロールの多い食事、糖質の摂りすぎは、コレステロールや中性脂肪を増やし、脂質異常症を招きます。運動不足や飲酒のほか、喫煙によるニコチンも血中コレステロールに影響することがわかっています。
高non-HDLコレステロール血症 −治療方法
まずは食事療法と運動療法で数値の改善を図ります。効果が見られない場合は薬物治療を取り入れ、コレステロールや中性脂肪をコントロール。薬物治療は、血液をサラサラにし、動脈硬化の退縮を期待できます。
高non-HDLコレステロール血症 −合併症
最も多く見られるのが動脈硬化です。さらに動脈硬化から、心筋梗塞、狭心症、大動脈瘤、大動脈瘤破裂、閉塞性動脈硬化症、脳梗塞、脳卒中、腎不全、腎硬化症などの疾患へ移行していきます。
高non-HDLコレステロール血症 −今すぐはじめる予防と対策
まずは日頃の食事、運動、喫煙、飲酒など生活習慣を見直してみましょう。脂質異常症は自覚症状がなく病気の状態が分かりにくいため、定期的に血液検査を受けてコレステロールと中性脂肪の値を把握しておくことも大切です。
脂質異常症 生活習慣病の一つ「 脂質異常症 」。一番恐ろしいのは“気づきにくい”こと。自覚症状がないまま脂質異常の状態が続けば、動脈硬化を発症し、脳梗塞、心筋梗塞など致命的な疾患のリスクが高くなってしまいます。
脂質異常症『 高LDLコレステロール血症 』 高LDLコレステロール血症 とは血液中のLDLコレステロールが140mg/dl以上と過剰な状態。使われずに残ったコレステロールが動脈の壁に沈着し、プラークというコブができて血管が狭くなり、動脈硬化を進行させてしまいます。
脂質異常症『 低HDLコレステロール血症 』 低HDLコレステロール血症 とはHDL(善玉)コレステロールが少なく、LDL(悪玉)コレステロールが血液中に過剰に残ってしまう状態。HDLコレステロールが少ないと、LDLコレステロールを回収しきれないため動脈硬化を進行させてしまいます。
脂質異常症『 高トリグリセライド血症 』 高トリグリセライド血症 とは、中性脂肪が150mg/dl以上と高く、血液中に脂肪が多い状態。中性脂肪が増えるとLDLコレステロールの増加を促進することから、動脈硬化を引き起こすリスクが高くなります。