
機能性ディスペプシア は2013年に正式な病名として認可された新しい概念の疾患です
上腹部に慢性的な胃痛や胃もたれがある人は医師に相談を。検査を受けても異常が見つからない場合は「 機能性ディスペプシア 」かもしれません。
監修・取材協力:名古屋市立大学大学院医学研究科
次世代医療開発学 臨床研究開発支援センター
センター長 神谷 武 先生

機能性ディスペプシア -基礎知識
機能性ディスペプシア ?まずはどんな病気か知ろう
上腹部に慢性的な胃痛や胃もたれを感じるが、はっきりとした原因がない疾患を「機能性ディスペプシア」と言います。内視鏡検査などの検査を行い、胃がんや胃潰瘍などの病気ではないことを確認して「機能性ディスペプシア」と診断されます。命にかかわる病気ではありませんが、仕事や勉強に集中できないなどの煩わしさが感じられ、生活の質を低下させてしまいます。日本では以前、「ストレス性胃炎」とも言われていました。
「機能性ディスペプシア」は新しい概念の疾患で、1988年にアメリカで提唱され始めました。海外では「functional- dyspepsia(FD)」と病名がついています。dyspepsiaは「消化不良」と訳されることがありますが、消化不良に限ったことではないので、日本でもそのまま「機能性ディスペプシア」と名付けられています。
比較的、若い人にも多く日本人の10%ほどの人がかかっているのではないかとされています。痛みが主体になっている場合(心窩部痛症候群=EPS)と食後に胃もたれの症状が出る場合(食後愁訴症候群=PDS)の2タイプに分類されています。また、腸の疾患と合併することもあります。

機能性ディスペプシア の他に、胃に不快感がある場合に考えられる疾患と合併しやすい疾患
機能性ディスペプシアと似たような症状があり、検査等で診断される疾患があります。また、ほかの病気の合併症となる場合もあります。
胃食道逆流症
以前は逆流性食道炎とも呼ばれていた病気です。胃酸が逆流して食道に流れることで、胸やけや酸っぱいものが上がってくるような感じがあります。
食後に症状を感じることが多いほか、胸やけがあるなど機能性ディスペプシアと似た症状がみられますが、内視鏡検査で食道炎(食道粘膜のただれ)が認められると、はっきりと胃食道逆流症と診断されます。ただし、食道炎が認められない場合もあるので、自覚症状などから診断されます。
胃がん
胃の悪性腫瘍で、進行すると機能性ディスペプシアと似た症状が現れます。内視鏡検査(胃カメラ)で診断されます。
胃潰瘍
胃の粘膜がただれて欠損し、上腹部痛や出血を起こすこともあります。ピロリ菌や痛み止めの薬が原因になることも多く、内部鏡検査(胃カメラ)で診断されます。
胃麻痺
胃の動きが悪くなって消化ができないため、食べた物が溜まってしまい、吐き気や嘔吐が起こります。胃もたれや食べ始め直後に満腹感があるなど、機能性ディスペプシアと似た症状が現れます。
長期間、糖尿病を患っていると全身の末梢神経や自律神経の働きが低下し、胃麻痺が合併症として現れることがあります。また、腹部手術後や原因不明で起こることもあります。
過敏性腸症候群
便秘や下痢を繰り返し、大腸に腫瘍や炎症などがない腸の疾患です。機能性ディスペプシアと合併することがあります。
ストレスや不安状態から知覚過敏状態になると痛みを感じやすくなります。原因は分かっていませんが、細菌やウイルスなどによる感染性腸炎後にかかりやすいことが知られています。
うつ病
精神科領域の病気は胃腸の症状が出やすくなり、うつ病の方が機能性ディスペプシアを合併することもあります。
機能性ディスペプシア -治療方法
治療は難しいのですが、7〜8割の改善を目指します。まずは生活指導が基本になり、そのうえで症状に合わせた薬が処方されます。薬は胃酸の分泌を抑えるもの、胃の運動機能を改善させるものなどが処方されます。改善がみられない場合は漢方薬などが処方されることもあります。
我慢しようと思ったら我慢できる症状のため、病院を受診するタイミングを逃しがちになりますが、そのほか隠れている病気の発見にもつながる場合もあるので、胃の不快感が継続したり、繰り返したりする場合は一度、受診をしましょう。
機能性ディスペプシア -今すぐはじめる予防と対策
胃にやさしい生活習慣を心がけましょう
機能性ディスペプシア -自己チェック
下記の症状がある場合は「消化器科」を受診しましょう
□ 慢性的に(6ヶ月以上)胃の不快感が継続、または、繰り返される
□ 物が飲み込みにくい
□ 体重が減少している
□ 食べ始めてすぐなのに満腹感がある
□ 常に満腹感、お腹の張りがある
□ 自食後に胃もたれをしやすい
□ 食後に吐き気を感じる
□ 空腹時にみぞおちに痛みを感じる
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