頭の片側両側にズキンズキンと脈打つような痛みが生じる頭痛
片頭痛

頭の片側、両側にズキンズキンと脈打つような痛みが生じる頭痛
「ただの片頭痛だし・・・病院に行かなくてもいいか」と思っているあなた、ちょっと待って!片頭痛だからといって放置しないで!医療機関を受診して正しい治療や予防を行わないと、どんどん悪化してしまう恐れがあります。

監修・取材協力:ぎふ頭痛脳神経クリニック
山田哲也院長

Contents

片頭痛 -基礎知識

頭部の血管が拡張して炎症を起こすことで痛む

片頭痛という言葉をよく耳にする方は多いと思います。片頭痛はストレスや生活習慣の乱れ、姿勢などがきっかけで起こる「一次性頭痛」に分類され、特に女性に多くみられる頭痛の症状です。ストレスやホルモンバランスの変化で、顔の感覚を脳に伝える三叉神経から炎症物質である「CGRP」という痛みの直接の原因といわれているタンパク質が放出され、それにより硬膜(脳の裏の膜)に炎症と血管拡張が生じることで片頭痛が起こると考えられています。この片頭痛発作が起こる仕組みと考えられる仮説を「三叉神経血管説」といいます。

片頭痛 -症状

片頭痛の症状で特徴的なのは、痛み方です。片頭痛の場合は「ズキズキ」ではなく「ズキンズキン」「ドクンドクン」と脈打つような拍動性のある痛みがみられます。こめかみから目のあたりが発作的に痛むといわれています。また、痛みが起こる前に光やギザギザした模様が見えたり、視覚的な前兆がある場合もあります。他にも、立ったり階段を上るなどの動作で頭痛が悪化したり、スマホや蛍光灯などの光をみるのが辛くなったりする場合は片頭痛の可能性が高いです。

片頭痛 -その痛み、片頭痛かも?セルフチェックで確認しよう

以下の項目のうち、2、3つ以上当てはまる場合は「片頭痛」の可能性があります。
□ 拍動性のある(ズキンズキンと脈打つような)痛みがある
□「立つ」「階段を上る」など、日常の動作で頭痛が悪化する
□ 頭痛の症状がみられるときに、スマホや蛍光灯の光をみるのが辛くなる
□ 吐き気がする

片頭痛を誘発させるものとして、赤ワインやチョコレート、チーズなどの「ポリフェノール」や、香水や芳香剤などの強い香りなどが挙げられます。体に良いものとして知られるポリフェノールですが血管拡張作用があるため、片頭痛持ちの人は要注意です。これらのものは極力避け、片頭痛を予防しましょう。

片頭痛 -治療方法

片頭痛の治療方法には「急性期治療」と「予防療法」があります。急性期治療は頭痛発作を早く鎮めるための治療で、予防療法は頭痛発作を起こりにくくするための療法です。急性期治療では、これまで主流となっていたトリプタン製剤に加えてジタン製剤が認可されました。2021年にはCGRP関連抗体製剤という皮下注射薬も認可されました。CGRP関連抗体製剤は痛みの直接の原因といわれているCGRPと結合することで痛みを抑制する効果がいわれています。今までの予防薬では効果がなかった人や、副作用などにより予防薬が続けられなかった人が対象です。

片頭痛 -薬剤使用過多による頭痛

薬剤使用過多による頭痛とはその名の通り、薬を過剰摂取してしまうことにより頭痛がさらに悪化することをいいます。「頭痛で病院に行ってもいいのか」「我慢すればいいや」と片頭痛を軽くみている人も多い印象ですが、病院に行かずに市販薬や鎮痛剤などを過剰に服用していると、今までは感じにくかった弱い痛みにも敏感に反応するようになり、痛みを感じる頻度も多くなってしまいます。月に10日以上薬を服用している人は、薬剤使用過多による頭痛を起こしている可能性が高いため、早めに専門医に相談することがおすすめです。

片頭痛 -片頭痛と社会問題

現在、片頭痛が日常生活に大きな影響を及ぼしていることをご存知ですか?片頭痛が原因で欠勤や休職、業務遂行能力や生産性が低下した状態で仕事を行う人が増加していることが世界的にも問題になっています。早めの治療を行うことで日常生活に及ぼす影響を最小限にとどめることが期待できます。片頭痛で苦しんでいる方、ひとりで抱え込まずに気軽に専門医を受診してみましょう。

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