後遺症を軽くするための治療法が近年、進歩しています
脳卒中 治療最前線

脳卒中 イメージ

突然発症した激しい頭痛、片麻痺、言語障害はすぐ救急車を。 脳卒中 を専門で対応する「脳卒中センター」があります。
前兆なく、突然訪れる脳梗塞、脳出血、くも膜下出血。 脳卒中 全体では70代から増え始めますが、50代、60代で発症することもあります。また、くも膜下出血は働き盛りの40代、50代にも多く発症する病気です。

監修・取材協力:脳卒中センター センター長
脳神経外科 副部長 伊藤 圭佑 先生

Contents

脳卒中 -基礎知識

早ければ早いほど治療効果が高くなります

脳卒中とは脳血管の病気のことで、脳梗塞、脳出血、くも膜下出血の主に3つの病気があります。脳梗塞は脳の血管が詰まって脳細胞が死んでしまう病気、脳出血とくも膜下出血は脳の血管が破れて出血する病気です。

ほとんどの場合、前兆はなく突然発症します。血管の詰まりや出血が起きた場所によって症状や治療が異なりますが、片方だけの手足の麻痺や言語障害、激しい頭痛などの症状が出たらすぐに救急車を呼びましょう。病院に到着してMRIやCTで画像診断をして病気の判別をし、手術や治療法を判断します。

脳梗塞に関しては、約15年前に血栓を溶かす薬「tPA」が登場し、さらに5-6年ほど前から血管内の血栓を取り除く「血栓回収術」が可能となった事で、後遺症が軽くなるケースが増えています。ただし、薬を投与する時間や手術の開始時間は早ければ早いほど治療効果が高まるので、1分でも早く救急車を呼ぶことが重要です。

また、頸動脈・脳動脈の狭窄や脳動脈瘤などは、脳ドックで発見できる事もあります。3年に1度は脳ドックを受けて、チェックをしましょう。

脳卒中 −考えられる主な種類と特徴

脳梗塞

脳の血管が詰まって血が通わなくなり、脳細胞の一部が死んでしまう病気です。脳の中を走る細い血管が詰まる「ラクナ梗塞」や比較的太い血管が詰まる「アテローム血栓性脳梗塞」などがあります。点滴での治療や再発予防が主体となりますが、頸動脈などの太い血管の狭窄が原因の場合には、ステント(医療用の金属筒)を血管の中に置いて、血液の通り道を広げる治療を行います。また、心臓の不整脈が原因で心臓内にできた血栓が脳の血管で詰まる「心原性脳塞栓」は、詰まった血栓をカテーテルを用いて取り除く血栓回収術を行う場合があります。


脳出血

脳の中を走る細い血管が破れ、周囲の脳細胞が破壊されます。生命に関わるような重症の場合には、血腫と除去する手術を行う場合もあります。


くも膜下出血

脳の表面を走る比較的太い血管が破れて出血する病気です。多くの場合は、脳動脈瘤の破裂が原因です。血管の壁が薄くなって水風船の様に膨らんだ状態が動脈瘤です。多くの場合には、動脈瘤が形成される過程では症状はなく、破裂することで急に激しい頭痛が起こるのが特徴です。治療は、開頭手術によるクリッピング術、またはカテーテルを使った血管内治療を行います。

脳卒中 −治療方法

この数年で急速に進歩した脳梗塞治療「血栓回収術」

重症の脳梗塞で比較的太い血管に詰まった血の塊をカテーテルを用いて取り除く治療です。以前は有効な治療がなく寝たきりとなってしまうような場合でも、この治療により後遺症なく退院できる患者さんも増えています。発症後、一刻も早く治療に取り掛かる事が重要です。脳卒中の症状がみられたら、1分でも早く救急車を呼びましょう。

一宮西病院 脳卒中センター

脳卒中の専門医師が常駐し、24時間365日、早急に対応ができる体制を整えています。画像診断機器とスタッフを揃え、治療が必要な場合は、救急車で運ばれてから1時間以内に治療を開始しています。
また、脳卒中を発症して病態が不安定な患者さんを治療するSCU(脳卒中集中治療室)も設置されています。脳外科医、神経内科医、看護師、理学療法士、作業療法士がチームとなり、治療にあたっています。

脳卒中 -今すぐはじめる予防と対策

高血圧や生活習慣病の改善をしましょう。
頸動脈は動脈硬化が進みやすく、血管が狭窄しやすい場所です。心原性脳梗塞の原因となる心臓の血栓の予防も必要です。高血圧や生活習慣病を改善することで、発症を抑えましょう。

●高血圧を改善する
●不整脈が見つかったら脳神経内科も受診する
●食事と運動の管理を行う
●喫煙を避ける
●アルコールの飲み過ぎない
●生活習慣病の場合は改善する

脳卒中 -チェック

□ 顔の片側だけの麻痺や片方の手足のしびれ
□ ろれつが回らない
□ 言葉が出ない
□ 視野が半分になる
□ 突然起きる激しい頭痛

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