いつもと異なる 咳 や長引く 咳 は注意。呼吸器内科などを受診しましょう。
一口に「咳」と言っても、原因はさまざま。乾いている咳か、湿っぽい咳か、咳が出る時間帯や場所などを観察して受診時に伝えると、スムーズに原因を探ることができます。
参考資料：一般社団法人呼吸器学会 https://www.jrs.or.jp
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会 https://www.jibika.or.jp
咳 －基礎知識
咳の様子を観察し原因を知ることが大切
自分で止めようとしてもなかなか止められない咳。咳は無意識に起こる生体防御反射のため、自分の意思で止めることは困難です。咳が出るということは、空気の通り道である「気道」に異変があるということ。どのような時に、どのような状態で、どんな咳が出るのか気にかけることで、病気の早期発見につなげることができます。
咳には大きく痰が絡まない「乾性咳嗽」と痰が絡んだ「湿性咳嗽」に分けられます。乾性咳嗽は「コホンコホン」などの乾いたような音がした場合は、気管支ぜんそくやマイコプラズマ肺炎などが疑われます。湿性咳嗽は「ゴホンゴホン」「ゼロゼロ」などの湿ったような音がする場合は、COPDや肺結核、副鼻腔炎などが疑われることもあります。
咳 －注意した方がよい人
注意しなければいけないのは、咳が2週間以上続く時。かぜ以外の病気が起きている可能性があるので放置せず、病院を受診しましょう。必要であれば、原因を探るための検査が行われます。
咳 －起こる仕組み
気道（鼻・のど・気管・肺の空気の通り道）にある異物（唾液や痰、ホコリなど）を感知
↓
脳に刺激が伝わる
↓
異物を吐き出そうと、脳が気道にある筋肉を動かす指令を出す。
↓
咳が出る。
咳 －考えられる主な種類と特徴
かぜ症候群
鼻から喉までの上気道で起こる急性の炎症。ウイルスが原因で、主にライノウイルス、RSウイルス、アデノウイルスがあります。同時に鼻水、鼻づまり、喉の痛み、発熱、頭痛、全身倦怠感などが起こります。安静、水分・栄養補給をすることで自然治癒するため、対症療法が行われますが扁桃などに細菌感染が疑われる場合は、抗菌薬が処方されることもあります。
マイコプラズマ肺炎
細菌やウイルスなどに感染して肺に炎症を起こす肺炎は日本での死亡数が第3位となっています。健康な人にも肺炎が起こることがあり、その原因となる微生物が肺炎球菌、インフルエンザ菌、肺炎マイコプラズマなどです。マイコプラズマによる肺炎は軽症ですが、若い人に多い傾向があります。腹痛や下痢の症状が出ることもあります。
肺結核
結核菌が肺に感染して起こる病気。人から人に感染します。感染しても発病は10%程度ですが、高齢者や免疫力が低下している場合は発病することがあります。2週間以上続く咳、血たんがある場合は受診しましょう。
非結核性抗酸菌症
浴室や土を扱う作業などで、空気中に漂う非結核性抗酸菌を吸い込むことで起こる病気。主な菌がマック菌で「肺マック症」と呼ばれます。数年から10年以上かけてゆっくりと進行し、症状はほとんどありませんが、咳、痰、血痰などが出ることがあります。偶然、レントゲンで発見されることがあります。
気管支ぜんそく
気道に炎症が続き、刺激に反応した気道が狭くなることが繰り返される病気です。原因はホコリ、カビ、ペットのフケなどですが、原因が特定できないこともあります。発作的な咳や痰、ゼーゼー、ヒューヒューといった音を伴うことが多くあります。
COPD（慢性閉塞性肺疾患）
タバコの煙などの有害物質を吸入することで生じる、肺の炎症性疾患です。慢性気管支炎、肺気腫の総称。身体を動かした時に息切れが起きたり、咳や痰が出ます。
咳 －検査方法
咳の原因を調べる主な検査
●呼吸機能検査
大きな呼吸などをして、肺の機能を調べます。
疑われる病気／気管支ぜんそく、COPDなど
●画像検査
胸部X線検査（レントゲン）やCT検査を行います。
疑われる病気／肺炎、肺がん、肺結核など
●血液検査
体の状態、また、アレルギーを起こしやすい体質かどうか、アレルギーの原因を調べます。
疑われる病気／感染症、気管支ぜんそく、肺炎など
咳を観察して、受診時に伝えよう
□ 乾いた咳？湿った咳？
□ 咳が出始めたのはいつ？
□ 咳が出やすい時間帯はある？
□ 咳と共にほかの症状が出る？（鼻水、鼻詰まり、ヒューヒュー・ゼーゼーという音、痰、血が出る、胸の辺りが痛いなど）
□ 咳が出やすい行動はある？（横になった時、坂道や階段を登った時など）
□ 家族や職場に喫煙者はいる？
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