成人の腹部のヘルニア
大腿ヘルニア -だいたいヘルニア-

鼠径鼠径部の下の脚に繋がる太もも部分(大腿)に小さな膨らみができるヘルニア。大腿輪と呼ばれる脚につながる血管や神経が通る穴を塞いでしまうため、最も嵌頓(かんとん)しやすく、注意が必要です。疼痛を伴い、中年以降の痩せた女性(特に経産婦)に多く見られます。

監修・取材協力:医療法人いまず外科
今津 浩喜 院長

医療法人いまず外科 名古屋ヘルニアセンター 今津 浩喜

この記事をまとめると

  • 腹膜や腸の一部が、本来あるべき場所から大腿部の皮膚の下に出てくる病気
  • 脚の付けねの少し下部分(大腿)に膨らみができ、やや疼痛を伴う
  • 嵌頓(かんとん)になりやすいため、早めに病院で診察してもらう
  • 中年以降の痩せた女性に多く、特に多産の経産婦に発生
  • 治療方法は手術のみ
  • 日帰り手術が可能
Contents

大腿ヘルニア の概要

お腹にあるはずの腸などの一部が、大腿(鼠径部の下の、脚に繋がる太もも部分)の皮膚の下に突出し、大腿に膨らみができるヘルニア。大腿輪と呼ばれる脚につながる血管や神経が通る穴を塞いでしまうため、最も嵌頓(かんとん)しやすく注意が必要であり、初発時に手術をすることが多いようです。疼痛を伴い、中年以降の痩せた女性(特に経産婦)に多く見られます。

症状

腹膜が伸びてできたヘルニア嚢が形成され、立っている時に脚のつけね(鼠径部)がポッコリと膨らみます。症状としては無症状の場合も多く、突出した膨らみは、横になると引っ込んだり、手で押し戻したりできますが、戻すなどの症状を繰り返すことで、穴が徐々に大きくなり、痛みを感じるようになることがあります。
悪化しても放置していると、引っ込まなくなる場合があり、この「嵌頓(かんとん)」という状態になると、血行障害を起こして腸閉塞や腹膜炎などを引き起こし、命の危険性も出てきます。

症状

脚の付けね(鼠径部)のやや下部分になる、大腿部が膨らみます。自覚症状は少なく、軽度の腹痛程度ですが、ヘルニア門(大腿輪)が狭く、他のヘルニアに比べて嵌頓を起こしやすいため、注意が必要です。嵌頓すると、腹痛や吐気の症状が生じ、腸が壊死して命にかかわる危険な状態になることがあります。大腿ヘルニアの疑いがある場合は、すぐに病院に行き、診断してもらいましょう。

検査方法

多くは、問診、視診、触診による診察のみで診断されます。診察で判断しかねる際には、腹部エコー検査を行います。手術前提の場合には、詳しく調べるために、腹部のCT、MRIの検査を行います。

大腿ヘルニア −治療方法

治療は手術のみになります。嵌頓を起こしていない場合は、人工補強材を使った「テンションフリー法」が主流となっています。この新しい手術法では、短時間の手術で、術後の痛みも軽く、再発率低くなっています。日帰り手術、または1泊~数日入院での治療によって、早期社会復帰ができるようになりました。

大腿ヘルニア −今すぐはじめる予防と対策

日帰り手術の翌日から日常生活は、ほぼ可能ですが、1週間程度は無理せず過ごしましょう。2~3週間は下腹部に力が加わる動作や、激しい運動は避けてください。食生活などにも気を付けて、便秘にならないように心がけることも大切です。
また、片側のヘルニアを手術した後、反対側で発症するケースもあるので、腹圧がかかることをする場合は注意してください。

大腿ヘルニア になりやすい人−セルフチェック

□40歳以上の女性
□出産経験が多い
□痩せている

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